以前の研究から、国産小麦を使用した麺製品の独特な風味は、リポキシゲナーゼ(LOX)活性の高さに起因する脂肪酸酸化分解生成物であるアルデヒド類によるものであることが分かっていた。本研究成果により、このLOXのアイソザイム組成が揮発性成分生成に影響を及ぼすことが判明し、特に農林61号ではLOX活性が高いだけでなく、特異なアイソザイム組成によって独特な風味が形成されたものと考えられた。これらの結果は、様々な小麦粉加工品の開発において、狙った風味を有する製品デザインのための有用な指針を与えるだけでなく、今後、遺伝学的見地から多様な風味を有する小麦品種の開発を促進することが期待される。
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