研究課題/領域番号 |
20K13840
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
森田 智幸 山形大学, 大学院教育実践研究科, 准教授 (70634236)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校改革 / ネットワーク / 触発 / 学びの共同体 / 教師の学び |
研究実績の概要 |
令和3年度の実績は主に以下の二点である。 第一に、新型コロナウィルスの影響により臨時休校を強いられた状況下における、対面での授業研究会を実施することの意味を、校長と教師の語りから分析、考察し、学会にて報告したことである。本報告の記録は、昨年度から今年度前半にかけて収集した語りによるものである。分析の結果、校長と教師は、不安を生み出すつながりの中に置かれていた。そこでは、校長と教師は、寄与の選択肢から選ぶことしかできない状況にあり、自律性に対する制限が効いていた。授業研究会の開催は、 可能性を探り合うつながりの再構築につながった。そこでは、校長、教師がそれぞれ自分なりに選択肢をつくる自律性を拡張することができていた。こうした展開を可能にしたのは、子どもの学びの事実を媒介とした語り口である。子どもの学びから自らの判断の適切性を吟味する場であることが授業研究会の意義である。この研究は、日本教師教育学会第31回研究大会にて、「校長と教師の語りから探る授業研究会の意義」として報告した。 第二に、高校における新型コロナ下の「探究と協働の学び」について記録を収集し、分析、報告した。この分析を通して、高校の学校改革ネットワークにおいて、今後追究すべき課題として、グループにおける学びが、困難の共有の場になっているかを問うことにあることを明らかにした。これは、生徒にとってはもちろん、教師にも同様のことが言える。本研究は、The 9th International Conference of School as Learning Community in The University of Tokyoにて、"Trajectory of Building up SLC in a High School in Yamagata : Changing “Group Activities” to Inquiry and Collaboration"として報告した。 第三に、山形県内における「学びの共同体」のネットワークにおける、他校の授業研究会への参加並びにその経験の他校への活用事例の記録を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教師の学外研究会への参加は、新型コロナウィルス感染症の影響により、当初の予定よりも難しくなっている。一方で、オンラインでの組織化を達成したことや、高校における授業研究会の開催とネットワークづくりの土台をつくることができ、結果として順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度、3年度を通して、山形県庄内地区における学校改革ネットワークを形成することができた。学校が単体ではなく、ネットワークとして改革に着手することの意味について、教師の語りを通して分析することが令和4年度の課題である。 令和4年度は、国際学会での報告を計画していたが、オンラインへの変更を余儀なくされる可能性が高い。その際には、報告者に教師を加えることが容易になるため、共同報告を実施し、成果の公開の促進に努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの全国的な拡大により、当初参加を予定していた国際学会のオンラインへの変更により、請求していた旅費の使用がなくなった。 今年度に延期された学会はオンラインでの開催が決定している。また、学校訪問ができなくなることも予想される。旅費への使用ができなくなることを想定し、オンライン参加用の機器、動画編集用機材の購入、および、オンライン環境での研究遂行のための研究補助者の人件費として支出する計画である。
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