世界市民的教育は、普遍的価値や人権といったものを教える教育と同一視される傾向が以前強い状況に対して、本研究では、地理的な具体的かつ豊潤な空間こそが、世界を体得する上で不可欠な基盤になることを明らかにした。とりわけ、人間関係の要に位置づけられる、信頼が、個別的な人間の性格や性質に根ざしているのではなく、人間がこの世界で行動する空間的な営みへの期待と信仰によって成り立っていることを明らかにすることで、世界市民的教育・人間形成における空間の基盤的特質を明らかにすることができた。 世界市民的教育は、さらに新たな対話や批判的思考といった視座から問い直されることがあるが、それらの基盤が空間なのである。
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