研究課題/領域番号 |
20K13850
|
研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
福嶋 尚子 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (30756284)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 学校財務 / 学校経営 / 校内委員会 / 職員会議 / 私費負担 / 公費負担 / 制服 / 指定品 |
研究実績の概要 |
学校財務経営において、特に校内委員会を組織し、あるいは事務職員に特定の職指定を行っている自治体あるいは学校の情報を引き続き収集している。ここで、校外規程については比較的情報公開が進んでいるが、校内規程がそもそも申し合わせにとどまっており文書化されていない、文書はあるがそれが学校財務経営に関わる校内規定であると関係者が認識していない、などの問題があり、なかなか収集が進んでいない状況である。 一部入手できた事例については、校外規程に基づく組織や職指定と、慣習的につくられた校内の申し合わせ(広義での校内規程)に基づく組織や職指定が存在する学校での財務経営と、そうした組織や職指定が存在しない学校での財務経営の在り方について、比較を行っていきたい。 一方で、学校財務経営においておそらく最も集団的な意思決定が必要となる、いわゆる「制服」や指定品の指定に関わる調査研究も引き続き続けている。特にコロナ禍に入って制服着用に機会を減らさざるを得ないことから、制服・指定品の見直しを進めている学校が多い。そこにおいて、教育委員会が主導するもの、校長ら管理職が主導するもの、生徒指導担当教員が主導するもの、販売店やメーカーとの連携をするもの、生徒や保護者の参加を重要視するものなどがあり、多様な制服見直しの事例が表れている。こうした事例も学校財務経営の事例の一環として、校内外の手続きの明文化の状況や各教職員の関わりの状況を調査していく。 加えて、教職員集団の中における教員の意見表明や意思決定への参画、学校財務経営の在り方についての先行研究の調査検討を行った。これにより、自律的自治的な学校財務経営の在り方についてモデルは提示できそうである。その成果は書籍や論文においてまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学校財務経営の類型を明らかにするため、人口規模の大きい横浜市における学校財務に関わる校外規程と校内規程の収集を行おうとしたが、新型コロナ・ウィルス感染拡大の影響による学校経営の混乱に加え、校内規程が不存在、あるいは校内規程として申し合わせや慣習が認識されていないなどの問題があり、なかなか収集が進んでいない。校外規程についてはすでにほとんど入手が完了している。引き続き校内規程の収集に努め、それに合わせて校外規程を収集し直すなどの計画変更を行っていく。
|
今後の研究の推進方策 |
大規模自治体である横浜市における学校財務に関わる校内規程の収集がかなわなかったため、校内組織あるいは事務職員の職指定の有無などを視点に学校財務経営の類型化を量的に行っていくことが難しくなった。今後は、校内規程を収集できる事例に焦点を絞り、それぞれの学校財務経営の事例において財務の意思決定がどのようになされ(形成過程)、どのように執行されているのか(実施過程)、また、それはどのような理念に基づいているのか(論理規範)について、事例研究を行っていくこととする。社会状況を好転したら、当該校に赴いてのインタビュー調査等を行っていきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ・ウィルスの感染拡大に伴い、予定していた学会出席及び発表や、訪問調査などを行うことができず、旅費の支出がなかったため、残額が生じた。 令和4年度においては、訪問調査等ができない分、情報公開請求や質問紙調査の実施なども想定して研究費を使用していく。
|