研究課題/領域番号 |
20K13854
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
町支 大祐 帝京大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40755279)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 異動 / 適応 / 組織社会化 / 組織再社会化 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度から引き続き行なっていた理論的な検討をさらに進めた。 看護師やビジネスパーソンに関する先行研究の整理を終え、論文化を行なった。具体的には、組織再社会化の概念を用いて異動後の適応とそこで生じる困難を検討した。組織への最初の参入時は、まっさらの状態ではないものの、それでも組織に対する認識や価値観は形成されていない状態で適応していく。もちろんそこでも困難はあるが、組織再社会化時にはそれより強い困難が生じる可能性がある。というのも、組織再社会化が生じる際は、すでに、何らかの組織で組織や職業に対する一定の認識や価値観を持っている。その認識や価値観とのズレを感じた際には、最初の参入時とは比べ物にならないほど大きな反発や不満を感じることになる。さらに言えば、前の組織と新たな組織との職能が基本的に変わらない専門職であるほど、前の組織で身に付けた認識や価値観を持ち続けてしまい、適応困難をより大きく感じてしまう可能性がある。 これらの整理を踏まえ、専門職である教師の異動後の組織再社会化と、そこでの困難についてインタビューをする予定であった。しかし、引き続き新型コロナウィルスの影響が大きいなかで、十分に実行することはできていないと言える。そのため、それらをまとめることは十分にできていない。 また、異動後の困難、つまり、組織再社会化における適応困難について量的調査を行う予定であり、質問紙の作成を進めている。ただし、そこには、前述したインタビュー調査の成果を反映するつもりである。さらなるインタビュー調査を行い、より洗練された質問項目の整理を行なっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の一つの柱であるインタビュー調査について、コロナ禍の影響もあり、十分に行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
オンラインインタビューなどの方法を用いるとともに、年度も変わったため、改めてインタビュー対象者の確保を行う。異動後の困難の促進要因、抑制要因などをポイントに、半構造化インタビューを行う。 インタビュー調査の結果について、質的データ分析法(佐藤2008)などを用いて分析を行う。これを通じて、すでに論文化済みである異動後の困難(町支2018)とあわせて、その促進・抑制要因の整理を行い、全体像を把握する。 次に、それらの結果をふまえて、量的な調査を行うことで、量と質の両面からの検討を行う。インタビュー調査で得られたカテゴリやキーワード等から質問文を作成し、アンケート調査の質問紙にいかしていく。それらの結果を分析することを通じて、促進・抑制要因と困難との関係性について検討を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査およびアンケート調査に関連する費用が、調査の遅れのために次年度使用となっている。
まずは、インタビュー調査に関わる旅費や、学会発表等に関わる旅費が生じる。また、インタビュー調査やアンケート調査のデータの整理に用いる。必要に応じて、分析に関わる機器やソフト等にも用いる。
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