研究課題/領域番号 |
20K13855
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
田村 恵美 東京家政大学, 家政学部, 講師 (30847950)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 授業研究 / 授業分析 / 重松鷹泰 / 科学性 / 奈良プラン |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、授業研究の生起と展開を歴史的に研究することで、教育における「科学性」を解明することである。その際に、日本独自の授業研究の手法を開発した名古屋大学名誉教授の重松鷹泰(1908-1995)に着目をした。 2021年度には、主として(1)重松が関与した学校全体のカリキュラム編成はどのように行われてきたか、(2)授業研究を生かして編成されたカリキュラムはどのようなものか、という2つの問いについて、会議録・カリキュラム編成に関する草稿およびそれに基づいて編成されたカリキュラムを収集し、分析をおこなった。 (1)については、前年度に引き続き、資料の分析・検討を重ね、子どもにとっての「生活」を奈良女子高等師範学校附属小学校はいかに解釈していたのかを重松の論考および具体的な単元計画から検討した。これらの成果は、2021年度に国内で開催された学会にて発表することによって、日本教育史等を専門としている研究者数名から助言を得ることができた。 (2)については、重松のカリキュラム観と、彼が主事として在職していた奈良女子高等師範学校附属小学校のカリキュラム案を比較し、同校のカリキュラム構造を検討した。その成果は、国内の学会にて発表をおこなうことにより、本研究の結果の妥当性について議論を重ねることができた。また、資料蒐集・分析の他に、子どもがそのカリキュラムで何を学びえたのかを明らかにするために、そのカリキュラムで学んだ経験のある卒業生へのインタビューの実施を予定していたが、Covid-19の影響により、断念せざるを得なかった。この点は次年度以降の課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19の影響から、各地に非常事態宣言が発出されたことにより、図書館の閉鎖や学外者利用の制限などがおこり、長距離移動を伴う資料の蒐集をおこなうこと、インタビューをおこなうことが実現できず、作業が停滞している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後もCovid-19の影響が続くと考えられる。また、次年度以降は私的事由により、一定期間、補助事業の中断および延長申請をおこなう予定である。現地での資料収集や調査が困難であることが予測されるため、オンラインでの資料収集・調査を可能な限り継続してゆく予定である。具体的には、国立国会図書館デジタルコレクション等を通じたオンライン公開資料の渉猟、またオンラインでの授業研究会への参加を通じて、資料収集とデータの整理・分析を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
Covid-19の影響を受け、本研究の当初に予定されていた国外・国内旅費の多くを支出することができなかった。また、それらのことに伴い、研究に必要な備品等の購入に遅れが生じた。このことから、次年度使用額が生じた。使用計画としては、オンラインでの資料収集・調査を可能な限り継続してゆく予定であるため、それらの機材の購入や必要な研究資料の収集のために充当する予定である。ただし、現段階では調査の調整中であり、実施可能な場合は執行し、時間がかかる場合は引き続き調整を進める。
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