研究課題/領域番号 |
20K13863
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
小笠原 文 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (10585269)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フランスの芸術教育 / 子どもの表現教育 / PEAC / 子どもの美的経験 |
研究実績の概要 |
本研究はフランスの「芸術文化教育(EAC)」を基点とし、フランスにおける子どもの芸術教育およびわが国の子どもの造形表現・図画工作・美術教育について広く調査・考察を行うものである。本研究のオリジナリティであり、最も重要な部分である「芸術文化教育(EAC)」の最新の実践方法としての「芸術文化プロジェクト(PEAC)」についての実践事例調査および検証については、研究初年度よりコロナ感染症の世界的な流行のため渡仏が困難な状況であり、実現できていない。そのため、本研究は1年間の期間延長を申請し、受理されている。令和5年に入ってから海外調査が現実的になってきたため、フランスの教育機関における実地調査を行う準備・調整を進めている。 令和4年度の主な実績としては以下の2点があげられる。 1)日本ペスタロッチー・フレーベル学会において開催されたシンポジウムに指定討論者として参画。フランスの幼保小接続期における活動について、特に子どもの表現活動に重点をおいて考察・発表を行なった。 2)教科書の分担執筆と編集。わが国における幼少期・学童期の表現教育について『未来をひらく子ども学ー子どもを取り巻く研究・環境・社会』の第2部・第6章「子どもと表現」の中で論じた。併せて第2部「子どもを取り巻く社会と文化」の編集を担当した。 これら2つの実績は本研究の「わが国の子どもの造形表現・図画工作・美術教育についての調査・考察を行う」部分に相当する。本年度はフランスにおける調査を実現し、研究のまとめに入っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属機関における海外渡航の自粛が緩和され、令和5年に入ってから実地調査が現実的となった。しかし、準備(現地教育機関視察のための調整や研究者とのアポイントメント)の時間が十分ではなく、年度内の渡仏を見送ることになった。そのため、本研究の重要な部分である「芸術文化プロジェクト(PEAC)」のフランスにおける実践事例調査および検証については、本年度も進めることができなかった。 一方で、現地教育機関との調整や研究者とのアポイントメントに着手し、実地調査の見通しをもつことができたことは収穫であった。また、わが国の子どもの造形表現・図画工作・美術教育について広く調査・考察を行うという観点から、学会でのシンポジウム発表や書籍の執筆・編集を行い、研究の成果を発表することができた。以上のことから、現時点において本研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は以下の通り研究を推進する予定である。 1)日仏教育学会の国際シンポジウム「日仏の芸術教育―教員養成・学校・地域社会をつなぐ実践と課題―」に登壇者として参画し、フランスの芸術文化プロジェクト(PEAC)についてその制度や成り立ち、実践事例などについて発表する(10月)。そのため、政府資料やフランス語文献を精査する。口頭発表後は報告書としてもまとめる。 2)フランスにおける実地調査を行う(12月)。PEACの実践について事例を観察し、その運用について、教育現場の教員にインタビューを行う。 3)総括(報告書の作成)。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関における海外渡航調査の自粛が2022年12月に解除されたが、現地教育機関や研究者との調整期間が短く、年度内にフランスにおける実地調査を行うことができなかった。そのため、渡航費(旅費)の使用がほぼ無く、次年度使用額が生じることになった。
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