2022年度は、前年度までに行った、狩猟を暮らしに取り入れる若者のインタビュー成果をもとに、狩猟学習の地域的展開について、実施調査3回行った。特に、いのちを奪う営みに内在する人間性に焦点をあて、それが地域社会における暮らし、ひいては、社会をみるもののみかたにどのように影響しているのかを分析した。 研究機械全体を通じての成果は別途報告書を作成予定である。課題と方法について先行研究から明らかになった視点は、日本の近代草創期の高等工業教育における技術の輸入と伝統の見直しの混然一体であった。生活教育における生活から相対的に独立した空間における手仕事の価値の学習、社会教育における生産学習、職業教育における企業内の現実に即した技術学習、それぞれにおいて大事にされてきた学習の論理を相対化する基点として近代草創期の混然一体は有効であった。 この視点から、第一に、たたら製鉄学習の実践分析を通じて、生活教育としての手仕事学習の側面と、チームとしての安全学習・高炉作業員の現場感覚などとを接続した技術学習のあり方について分析を行った。第二に、狩猟学習の地域的展開の実践分析を通じて、個と自然とのかかわりのなかにおける生業の学習を超えて、地域として狩猟の意味を捉える学習の論理を分析した。 今後の課題としては、戦時中の中小企業における軍需部品生産の終戦後の展開を分析することを通じて、技術者の現実において、人間は戦争や平和とどう向き合っていったのか、その学びの論理を明らかにすることである。
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