研究課題/領域番号 |
20K13872
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
徳島 祐彌 兵庫教育大学, その他部局等, 助教 (00819443)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 体育 / カリキュラム / スタンダード / アメリカ |
研究実績の概要 |
本年度は、(1)アメリカにおける体育カリキュラム論の検討、(2)「逆向き設計」論の検討、(3)体育を含めた日本における到達度評価の検討を行った。 (1)アメリカにおける体育カリキュラム論の検討としては、体育のスタンダードを含め、体育カリキュラム論の展開を総括的に整理した。具体的には、フィットネス教育やスポーツ教育、スタンダードに基づく体育などの立場について、個別の教育的価値に依拠した体育カリキュラム論と、教育的価値を包括的に捉える体育カリキュラム論の系譜に整理した。その成果をもとに、1960年代以降のアメリカにおける体育カリキュラム論の系譜を図示した。今後は、スタンダード作成の議論とモデルに基づく指導の議論について研究を進める予定である。 (2)「逆向き設計」論の検討としては、ウィギンズらの提唱する理論について、「本質的な問い」、パフォーマンス課題、ルーブリックなどの考え方を検討した。また、アメリカの体育において、ウィギンズらの「逆向き設計」論がどのように参照されているのかについて確認した。今後は、この「逆向き設計」の考え方を体育にどのように導入できるのかについて、日本とアメリカの実践事例を踏まえて検討する予定である。 (3)日本における体育の評価論、ならびに到達度評価について検討した。体育の評価における基本的な課題と、到達度評価に関する運動の歴史と概要について確認した。今後は、体育における到達度評価の議論に焦点を合わせて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、1960年代以降のアメリカにおける体育カリキュラム論の展開を整理するとともに、スタンダードに基づく体育の特質と課題を整理した。その成果は、博士論文としてまとめている。また、今後の体育の学力形成を考えるために重要となる「逆向き設計」の考え方について詳細に検討した。そして、日本における体育の評価論や、到達度評価について再検討を行った。コロナウイルスの影響により国内外への出張が難しく、インタビュー調査や実践的な研究ができなかったものの、これらの基礎的な研究を進めたことを踏まえて、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方針として、スタンダードに基づく体育に見られるモデルに基づく指導の考え方を検討する必要がある。また、アメリカでも取り入れられている体育の目的・目標としてのフィジカル・リテラシーという概念についても検討する必要がある。加えて、日本における(体育の)到達度評価の運動の到達点と課題について検討することが重要である。今後も国内外の出張、および学校との共同研究が困難な状況が想定されるため、資料の収集および文献の読解を通して、日本とアメリカの体育に関する理論的な整理を中心として研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの影響により、出張の自粛・禁止が要請されたため。 次年度以降も、国内外の状況を踏まえつつ、文献による研究を中心に進める。
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