研究課題/領域番号 |
20K13873
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
早川 知宏 島根大学, 学術研究院教育学系, 助教 (40868238)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | インクルーシブ教育 / 特別活動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、障害を抱える子どもや多様な発達上の背景を持つ子どものニーズに応答するインクルーシブ教育時代の中で、どのように規律の指導を構想し、実践するかを明らかにすることである。 2020年度は、文献収集から、多様な発達上の背景をもつ子どもがいる中で、きまりを合意形成していくかを検討するために、特別活動における生徒会に着目した。文献研究を中心として、ドイツのバーデン・ヴュルテンベルク州における生徒会である生徒共同責任について検討した。研究の成果は、中国四国教育学会第72回大会(広島大学にてオンライン開催)にて発表し、中国四国教育学会編(2021)『教育学研究紀要』(CD-ROM版)に掲載された。 とりわけ生徒共同責任の制度では、中等教育段階から行われることを前提として、学級代表と副代表が学級で選ばれ、その学級代表と副代表で生徒評議会が構成され、その生徒評議会から生徒代表が選ばれる構造となっており、学校のさまざまな問題を学級や生徒評議会で審議し、生徒評議会の代表が学校会議など、学校のあり方を決める重要な会議へ参加することとなっていることがわかった。この構造の中で、学級や学校における子どもたちの困り感などを学校全体に投げかけたりする機会が子どもたちに保障されており、学校全体のルールやきまりについて、全体で話し合う機会も設けられており、学校に対して、提案や批判、要望を述べることも可能とされていた。このように、ドイツにおける特別活動の実践は、子どもたちのさまざまな声や特別なニーズのある子どもの思いを反映させながら、学校におけるきまりやルールの改廃など、学校づくりに取り組むという点で、非常に意義のあるものであることが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、2020年度に規律に関する文献調査により、授業と生活指導の文脈を踏まえながら、ドイツでの規律の今日的な捉え方を明らかにしていくことを予定していた。しかしながら、2020年度は、特別活動の動向しか検討することはできておらず、授業については、検討できていない。また、ドイツへフィールドワークも予定していたが、新型コロナウィルスの影響もあり、できていない。それゆえ、やや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度はインクルーシブ教育に関する文献調査を行い、どのように学級での子どものニーズに応答する規律の指導を行うことができるのかを、とりわけ授業論や学級経営論との関連から検討していきたい。さらには、文献調査と並行しながら、実践的研究も行っていく予定である。ドイツでのフィールドワークやインタビュー調査によって、規律の指導の動向や教育実践の具体を調査する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、海外への渡航が困難であったことが挙げられる。さらには、文献研究の進捗状況がよろしくなく、授業論ではなく、特別活動に関する成果しか研究発表することができず、文献収集が進まなかったことも挙げられる。次年度には、新型コロナウィルスの影響がなくなった場合、ドイツでのフィールドワークも検討し、さらには文献収集も行いながら、研究費を使用していきたい。
|