2023年度は、これまでの研究でドイツにおける規律の指導は学級会の中でも行われていることが明らかになったことから、ドイツにおいて学級会の手順や学習過程をどのように子どもたちに指導するかを検討した。ドイツにおいては、学級会の実践的な入門書が刊行されており、その入門書を手がかりとしながら、学級会がドイツの基礎学校第1学年の中で、どのように導入され指導されているかを明らかにした。ドイツにおいては、基礎学校第1学年の学級会の導入として、学級会を行ううえでのルールや、学級会ノートの使い方、学級会での討議の方法について、学級の子どもたちと教師で共同決定しており、そのうえで、子どもたちが活動を通して学級会の手順を学ぶことが重視されていることが明確となった。ただし、今回はドイツにおける学級会の入門書・マニュアルを検討しているため、それぞれの方法がどういった理論をもとに構想されているか、といったことは明らかにすることができず、また、ドイツ全体での学級会の指導や導入方法の検討はできておらず今後の検討課題となった。また、今回対象とした低学年での学級会の進行方法については、教師が学級会を主導・司会することが提起されており、子どもたちが役割を決めて、子どもたち自身が学級会を運営していく方法については検討できなかった。ただし、ドイツにおいては、高学年になるにつれて、子どもたちが司会進行し、子どもたちで、学級会を運営することも求められている 。今後は、ドイツでの理論的研究を踏まえ、学級会活動をどのように子どもたちが発展させ、子どもの自治による学級会につなげていくか、また、学年ごとの指導方法を明らかにしていくことも検討課題として残った。(研究の成果は、早川知宏(2024)「ドイツにおける学級会活動の指導に関する一考察」中国四国教育学会編『教育学研究紀要(CD-ROM版)』第69巻、124-129頁、に掲載されている。)
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