研究課題/領域番号 |
20K13874
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
松田 弥花 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (20824171)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 社会教育・生涯学習 / 教育福祉 / Social Pedagogy / Behandlingspedagogik / 余暇教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、福祉国家・生涯学習の先進国と言えるスウェーデンにおける、教育と福祉が融合した学問領域であるSP(Socialpedagogik=Social Pedagogy:SP)の理論構造及びSPの専門職であるソスペッド(Social Pedagogue=Soc-ped)の専門性を理論的・実証的に検討し、教育福祉的実践を支える新たな理論的枠組みを構築することである。具体的には、(A)学問領域としてのSPの理論研究、(B)ソスペッド養成システムを解明するための教育課程分析、(C)教育・福祉領域で活躍するソスペッドの専門性を探求する実証的研究を実施する。 2022年度もCOVID-19により十分な調査は行えなかったが、3年ぶりに現地に行き文献調査及びインタビュー調査を行った。SPと治療教育(Behandlingspedagogik)、SPと余暇教育(Fritidspedagogik)の関連を探るため王立図書館で資料を検索したところ、余暇教育については複数の資料があったが、治療教育については少なかった。SPと余暇教育の関係を直接的に言及する新たな文献は見つからなかったが、余暇教育の特徴として人との関係や共同体の中での学びを重視する点や、実践を社会的学習と捉える視点はSPでの志向と共通すると言える。インタビュー調査では、民衆大学において余暇リーダー養成課程とSP養成課程が合同授業を行っている場所があることが分かり、実践において余暇教育とSPの共通性を見出していることが分かってきた。他方、治療教育については、文献調査からはSPとの関係を探ることに限界があることが分かってきた。治療教育についても、養成課程からSPとの関係を探究する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
採択されて以降、COVID-19の影響により当初の計画通りに調査を行うことができず、国内で入手できる限られた資料で文献調査しか行うことができていない。残された研究課題に引き続き取り組む必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で記した通り、本研究課題は文献調査では限界があり、余暇教育や治療教育の実践現場からSPとの関連を探る必要があることが分かってきた。現地の養成課程担当者などを対象にSPと治療教育、SPと余暇教育の関連についてインタビュー調査を行うことで、それぞれの関係がより具体的かつ鮮明に浮かび上がると思われるため、研究期間を延長し現地調査を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により当初予定していた現地調査を行うことができず、旅費として計上していた経費に大幅な残額があり、研究課題を継続して行う必要がある。今後の使用計画として、現地の実践家にインタビュー調査を行うための旅費と、研究成果を発表する経費として計上する。
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