研究課題/領域番号 |
20K13876
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
柴田 聡史 琉球大学, 地域連携推進機構 地域共創企画室, 准教授 (40721882)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 学校管理職 / アメリカ合衆国 / 評価制度 / 職能成長 |
研究実績の概要 |
本研究は、米国における校長の資質・力量概念の変容とそれに伴う評価制度や職能成長システムの動態を、学力テストと厳格なアカウンタビリティに基づく連邦主導の改革の展開において明らかにすることを目的としている。具体的には、1980年代以降の連邦政策で校長に必要とされてきた資質・力量概念の変遷を明らかにするとともに、連邦政策を契機として各州で進展する校長の評価制度構築の動態と課題、評価制度と連動する職能成長システムの実態を明らかにし資質・力量概念の変容との関係を分析することを研究課題としている。 研究の初年度である本年度は、校長に関する議論が本格化した1980年代から今日までの政策展開の中で、校長に必要な資質や力量、評価制度をめぐっていかなる論議がなされてきたかを、連邦政府と専門職団体のそれぞれについて整理を行った。先行研究の整理・検討に基づき、1980年代以降の管理職の資質をめぐる論議と資格・養成制度改革の展開を確認するとともに、現在の連邦政策関連の資料、全米の専門職団体の報告書等の資料の収集を中心が中心的な作業となった。特に、全米初等学校長協会(NAESP)と全米中等学校長協会(NASSP)では評価制度の在り方について、それぞれ連邦主導で進行する現在の教員・管理職政策を踏まえた検討がなされていることが確認された。本年度の成果の一部は、大桃敏行・背戸博史編『日本型公教育の再検討ー自由、保障、責任から考える』第6章「学校教育の担い手としての保護者・住民」として公表するとともに、次年度の学会発表等にて発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、先行研究や現有資料による分析枠組みの精緻化と、米国(ワシントンDC)への訪問調査による聞き取りや資料収集を予定していた。新型コロナウイルス感染症の感染拡大により研究活動が制限されたが、前者については、既存資料に加え国内で入手可能な資料に基づき、連邦レベルの政策展開および関係団体の議論の検討を進めることができた。一方で後者の米国への訪問調査については、海外渡航の制限により現地への訪問を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、校長評価制度の導入過程と職能成長システムの実態を分析するため、連邦・州政府文書等の精査による、各州の評価制度の法制化と職能成長システムの整備状況の把握、類型化や、ニューヨーク州への訪問調査を予定している。なお、米国調査については、本年度に予定していたワシントンDCへの訪問と合わせて行うことを計画しているが、新型コロナウイルス感染症の状況により引き続き現地への渡航が困難な可能性もある。その場合には、インターネットを活用した聞き取りや資料収集を行うことも検討しており、研究課題の遂行に必要な情報の入手と分析に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由については、本年度に予定していた米国での訪問調査および国内での資料収集や学会参加が新型コロナウイルス感染症により、年度内に実施できなかったことによるものである。当該金額は、国内旅費および海外旅費と米国調査に関連して購入予定であった物品費に相当するものである。 感染症の状況によるが、海外旅費や関連物品費については本年度に予定していた訪問調査を次年度に実施することで使用予定である。また、国内旅費についても適宜資料収集を実施することで使用する。 なお、引き続き海外渡航や国内出張が制限される場合には、図書の購入や資料の複写等により、研究課題が遂行できるよう代替的な対応を行うこととする。
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