研究実績の概要 |
最終年度における成果は主に次の2点である。第一に、国際バカロレア(IB)プログラムにおける批判的思考を特定することを目的とし、IB機構の設立に深く関わり、IB機構創設者の1人であるアレック・ピーターソンの教育観から批判的思考の源流を明らかにした。特に、IBプログラムにおける批判的思考の核は「繊細で心の温かみのある人間(humane person)」であることや、「高次思考レベルの問いへの応答について共同学習を通して批判的思考を研ぎ澄ませること」であることを特定した。第二に、インドネシア国のIB認定校に通う日本人児童・生徒らが、IBプログラムにどのように適応していったのか、その過程を明らかにした。特に、問いへの応答を重視するIBプログラムでの学習に対して、当初は抵抗をもっていたものの、徐々に態度変容が伴っていった過程を整理した。研究期間全体の成果として、①IBプログラムにおける批判的思考育成に係る教育理論の特定、②IBプログラムににおける批判的思考指導に係る教育理論と高等学校学習指導要領の趣旨の両方を踏まえた教材開発の実施、③開発した教材を用いた実践・検証、の3点が挙げられる。研究成果は主に以下の論考、著書において掲載することで社会に還元した。"A Pedagogical Approach to Foster Critical Thinking Skills in Japanese EFL Learners: Focusing on the International Baccalaureate’s Pedagogical Framework”, Educational Reform and International Baccalaureate in the Asia-Pacific (Eds; Coulson, D.G., Datta, S., & Davies, M.J.), IGI Global, pp.37-56., 2021. / 御手洗明佳, 赤塚祐哉, 井上志音『国際バカロレア教育に学ぶ授業改善 : 資質・能力を育む学習指導案のつくり方』(北大路書房)2023.4
|