研究課題/領域番号 |
20K13887
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
高田 麻美 岩手大学, 教育学部, 准教授 (30734545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育博物館 / 現職教育 |
研究実績の概要 |
2020年度における当初の計画は、英国教育博物館の設立過程・理念を検討するとともに、府県立教育博物館が摂取した教育博物館情報を解明することであった。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、英国での資料調査および国内の資料調査がすべて実施できなかった。また所属機関の変更に伴い、研究に遅れが生じた。
英国教育博物館に関しては、既に収集した資料の整理・検討を進めた。その過程で、英国教育博物館が設立された背景として、産業革命に伴う「国民教育」および「社会改革」が必要だと認識されつつあったことが関係していた。それゆえ、1850年代以降、「国民の審美眼の向上」をはかるため、同博物館は美術資料や自然科学資料に加え、学校教育に関する資料を収集・展示し始めたことが解明された。こうした「広義の教育博物館」としてのあり方は、カナダのトロント教育博物館に大きな影響を与えたことが推測される。今後は、英国教育博物館とトロント教育博物館の影響関係に注目しながら、両館の理念や活動実態の解明に努めたい。 府県立教育博物館に関しても、昨年度までに収集した資料の整理・検討を進めている。
このほか、「総合的な学習の時間」が創設される経緯について執筆依頼をうけた。博物館をはじめとする社会教育機関と学校とがどのように関わってきたのかに留意しつつ、戦前から戦後にかけての経験主義的な教育実践がどのように蓄積されたのかをまとめ、書籍『「生きる力」を育む 総合的な学習の時間』の第1章において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、計画していた英国調査および国内調査がすべて実施できなかった。加えて、所属機関の異動に伴い、本研究課題に対するエフォートが相対的に低下してしまった。これらの理由から、本年度は研究の基礎資料を十分に収集することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの状況によるが、2020年度に予定した資料調査(特に国内調査)を2021年度に実施できるよう努めたい。資料調査が再開できないと判断された場合、デジタルアーカイブや資料複写サービス等が利用可能かどうか、あるいは、別資料で代替できないかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、英国調査および国内調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、すべて実施ができなかった。 2021年度は、国内外の状況をみながら、徐々に資料調査を再開していきたい。また、資料調査の再開が難しいと判断された場合、資料の郵送サービス等の活用も検討する。その複写代やサービス利用代に旅費をあてる可能性も考えている。
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