研究課題/領域番号 |
20K13887
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
高田 麻美 岩手大学, 教育学部, 准教授 (30734545)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 教育博物館 |
研究実績の概要 |
2021年度における当初の計画は、トロント教育博物館の設立過程と実態を解明するとともに、文部省教育博物館と府県立教育博物館との関係性を検討することであった。しかしながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、カナダでの資料調査が実施できず、国内の資料調査も一部実施を見送らざるを得なかった。
2021年度は、主に以下の二つについて取り組んだ。
第一に、トロント教育博物館に関して、既に収集した資料の整理・検討を進めた。その過程で、同館が英国教育博物館をモデルとしながら、芸術資料の収集と展示に重点を置いたこと、すなわち、「広義の教育博物館」として活動したことが明らかになった。 第二に、東京都公文書館所蔵の東京府庁文書および北海道立文書館所蔵の札幌県庁文書、函館県庁文書を調査し、文部省教育博物館における教具の普及活動の実施方針と実施過程を検討した。検討の結果、同館は館長の手島精一の「意見書」に従いつつ、教具の普及体制を次のように整えたことを解明した。すなわち、実験器具に関しては民間業者と提携したことで、府県・学校が購入するルートを確立した一方、標本については同館がかなりのエフォートを割いて、試料収集と標本作製を行ない、民間業者が台頭するまでの「中継ぎ」的な役割を果たしたことが明らかになった。これらの成果を論文としてまとめ、岩手大学大学院教育学研究科研究年報に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、計画していたカナダ調査が実施できず、国内調査も一部見送らざるを得なかった。それゆえ、本年度は研究の基礎資料を十分に収集することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの状況によるが、2020年度~2021年度に予定した資料調査(特に国内調査)を2022年度に実施できるよう努めたい。資料調査が再開できないと判断された場合、デジタルアーカイブや資料複写サービス等が利用可能かどうか、あるいは、別資料で代替できないかどうかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、カナダ調査および国内調査を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響をうけ、カナダ調査を中止するとともに、国内調査も一部見送らざるを得なかった。 2022年度は、国内外の状況をみながら、徐々に資料調査を再開していきたい。また、資料調査の再開が難しいと判断された場合、資料の郵送サービス等の活用も検討する。その複写代やサービス利用代に旅費をあてる可能性も考えている。
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