研究課題/領域番号 |
20K13896
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
荻巣 崇世 上智大学, 総合グローバル学部, 助教 (00743775)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国際開発学会 / 教員養成 / 高度化 / 教員制度改革 / 新型コロナウイルス感染症 / カンボジア / PLC |
研究実績の概要 |
本研究は、世界標準の教員養成の実現と「学び続ける教師」の育成を目指して、2018年より従来の2年制の師範学校から4年制の大学学部レベルへと教員養成を高度化する改革を行なっているカンボジアにおいて、新旧の養成機関に在籍する学生を追跡することにより、学生の視点から高度化の実態を解明するとともに、「学び続ける教師」の育成に対する高度化のインパクトを実証的に明らかにすることを目的としている。2021年度は、質問紙調査の実施とインタビューによる追跡調査を中心としたデータ収集を実施することを予定していたものの、新型コロナウイルス感染症の影響で現地調査ができなかった。そこで、次年度以降に現地でのデータ収集に活かすことを目的として、2021年以降新たに施行された教員関連政策の分析など、二次資料の収集と分析を中心に実施し、その成果を国際開発学会全国大会で報告した(Ogisu, T. "What makes Professional Learning Communities (PLC) work in Cambodian schools?: Lessons from Japanese Professional Development Models")。さらに、これまでの研究成果をふまえ、Springer Nature社よりReforming Pedagogy in Cambodia: Local Construction of Global Pedagogiesと題した書籍(単著)を刊行した。また、現地協力者とのネットワークを強化し、定例オンライン会議を実施したり来日時に対面でも話を聞くなど、渡航が難しい中でも現地の情報を得ることに努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響により、現地に渡航できなかったことで、研究の進捗が遅れている。2021年度は、質問紙調査の実施とインタビューによる追跡調査を中心としたデータ収集を実施することを予定していた。しかし、2021年度は一貫して現地渡航が不可であったため、現地でのデータ収集がストップしてしまった。また、同感染症によりカンボジアの教員養成機関では新入生の受け入れを停止しており、渡航できていたとしても、予定通りにデータ収集は行えなかったものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、教員養成機関の学生の養成段階から初任期における経験や意識形成をふまえて、カンボジアの教員養成の高度化が「学び続ける教師」の育成に対してどのような影響を及ぼしているのかという問いに対し、将来教員となる予定の学生たちのミクロの視点や経験から教員養成制度について明らかにするものである。そのため、現地に渡航し、学生たちとの関わりの中で調査をすることが、本研究の目的を果たすうえで欠かせない。2022年3月31日にカンボジアの渡航制限がレベル2に緩和されたことから、2022年度は現地調査が可能になると見込まれる。2022年はカンボジアの教員養成大学の第一期生が卒業する年でもあり、ベースラインとなる第一回の質問紙調査および聞き取り調査を実施するのに絶好のタイミングである。したがって、2022年度は少なくとも2回の現地調査を実施して、時系列で学生の意識形成を比較分析できるデータを収集することに努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりカンボジアへの現地渡航・調査ができなかったため、調査で使用予定だった旅費およびリサーチアシスタントへの人件費・謝金を全額執行できなかった。そのため、渡航制限が緩和または解除された後に改めて現地調査を実施することとし、繰り越した。次年度は、今年度分と合わせて、できれば2週間ほどの現地調査を2回実施する予定である。また、学会大会がオンラインに移行したことも、旅費の執行ができなかった要因であるが、発表を予定している学会大会は対面式に戻る予定であることから、次年度は予定通り旅費の執行ができるものと見込んでいる。
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