研究課題/領域番号 |
20K13897
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
胡中 孟徳 東京大学, 社会科学研究所, 特任研究員 (20867923)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 生活時間 / 子ども / 育児 |
研究実績の概要 |
本研究は、家族の育児・子育て行動(以下では、子育て行動とする) の階層差がどのように変化してきたかを、 育児や子どもへのサポートの分担、子どもと親の相互作用に着目して計量的に明らかにすることを目指す。以上の目的を達成するために、生活時間の政府統計である「社会生活基本調査」を用いた二次分析(統計法にもとづく個票データの使用)から時系列的な変化を分析する。 研究初年度においては、予定していた社会生活基本調査の個票データの申請に優先して、匿名データの分析を進めた。個票データに適用する予定であった統計的手法を適用した分析を行った。具体的には、社会生活基本調査B票の分析により、時間帯ごとの親子の詳細行動の関連と階層差を分析し、親の行動と子どもの行動の間に関連があること、階層が高いほど親子ともに教育に親和的な行動を行いやすいこと、しかし親の行動は階層の効果を媒介してはいないことを示した。この成果は、雑誌への投稿を行い、掲載が決定されている。 同時に文献研究を進めて、既存研究の成果の把握とその理論的検討と統計的手法の把握につとめた。とくに家族社会学や人口学の領域での家事・育児にかんする研究についてレビューを進めるとともに、家族社会学の研究関心と教育社会学のトピックが十分に接続可能であることを確認した。そうした研究関心に生活時間の観点からアプローチする方法についても検討し、必要な統計的手法の整理も行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の2点では当初予定よりも順調に研究を進められている。 第1に、使用する予定であった統計的手法を社会生活基本調査に対して、実際に適用できることを確認し、論文を執筆できた点である。第2に、購入した図書から、次年度以降の研究に必要となる研究トピックの知識を身に付け、統計的手法の知識・技法を把握した。 ただし、以下の点で当初予定からの遅れがある。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入構時間の制限から、社会生活基本調査の匿名データと個票データの両方を扱うことは困難と判断して、個票データの申請を次年度以降に見送ったため、初年度予定していた個票データの基礎的ハンドリングが完了しておらず、この点で当初の研究計画より遅れている。 以上の点から、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
社会生活基本調査の個票データ申請を行い、基礎的なハンドリングを進める。並行して匿名データの分析も引き続き進め、学会で報告を行い、論文の執筆を進める。
|