研究課題/領域番号 |
20K13903
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研究機関 | 兵庫教育大学 |
研究代表者 |
坂口 真康 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 講師 (00819427)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 共生教育 / グローバル化 / ナショナリズム / 南アフリカ共和国 / 高等学校 / 歴史教育 / Life Orientation / 学校教科書 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、南アフリカ共和国(以下、南ア)を事例として、共生教育におけるナショナルな基準と多様な実践の折衷点を探索することである。3年目の2022年度は、文献研究と南アにおける調査研究(フィールドワーク)の準備と実査を行う計画を立てていた。2022年度の研究の主な成果としては、文献研究を通じた共生教育の理論的検討、南アや他国の共生教育に関する先行研究や政府文書の分析・考察に加えて、南アの学校で共生教育を担う教科・科目の教科書の記述内容の探索が挙げられる(研究成果は、2022年度実施の学会の大会(2箇所)で発表し、学術論文(1本)として公表した)。 そこでは例えば、文献研究を通じて、現代の南アでは「自由の下に生まれた」世代に着目しつつ共生教育を探索することの重要性などを指摘した。また、高等学校段階のLife Orientationの教科書の探索から、同教科書では、グローバルな段階とローカルな段階の両方を基軸とする形でグローバル化に関わる学習内容が設定されていることなどを指摘した。加えて、高等学校段階の歴史の教科書の探索を通じては、同国では、ナショナリズムに関わる歴史教育が社会構築主義的立場から取り組まれていることなどを指摘した。2022年度の研究成果は、現代の南アの共生教育の具体的内容を学校教科書の記述内容より示した点などに意義と重要性がある。 なお、1年目と2年目に続き、3年目の2022年度も新型コロナウイルス感染症の影響等により南アの学校等での調査研究を実施できなかった。ただし、今年度は南アに渡航し、図書館等において資料収集・情報収集を実施した。また、2023年度の南アでの調査研究の実施に向けての各種申請を行い、研究代表者が所属する機関の人を対象とする研究に関する倫理審査委員会の承諾と、南ア西ケープ州教育省より同州に位置する公立学校で調査を実施するための許可を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目と2年目に続いて、3年目にあたる今年度も、新型コロナウイルス感染症の影響等により、当初の予定通り南アフリカ共和国西ケープ州におけるフィールドワークの実施が困難である状況が続いた。そのため、「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2022年度までよりも新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着いている状況を見越して、南アフリカ共和国(以下、南ア)西ケープ州の中等教育学校と教育省において調査研究(フィールドワーク)を実施する予定である(すでに、2022年度中に実査の前に必要な各種申請を行い、研究代表者の所属機関の人を対象とする研究に関する倫理審査委員会の承諾と南ア西ケープ州に位置する公立学校における調査を実施するための同州教育省による許可はすでに得ている)。具体的には、南ア西ケープ州の公立の中等教育学校において教育者と学習者へのインタヴュー調査や「共生」に関わる授業の観察、ならびに同州教育省において「共生」に関わる学校教育を管轄する部署に所属する行政官へのインタヴュー調査を実施する予定である。また、南アでの調査研究と並行して、現在までに実施してきた文献研究(「共生」に関わる理論的研究、政府文書等の分析、学校教科書等の分析)も引き続き実施する。そして最終的には、文献研究で得られた成果と南ア西ケープ州における調査研究で得られた成果をもとにして、共生教育におけるナショナルな基準と多様な実践の折衷点に関する分析・考察を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響等により、当初の計画通りに南アフリカ共和国における調査研究(フィールドワーク)を実施することが困難であったため、次年度使用の必要が生じた。
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