研究課題/領域番号 |
20K13911
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
中西 啓喜 立教大学, 社会学部, 助教 (10743734)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学力格差 / パネル調査 / 学級規模 / 学校風土 |
研究実績の概要 |
2020年度には、新型コロナウィルス蔓延の影響を受け、調査の実施自体が危ぶまれた。しかし、A県B市教育委員会の協力を得ることで実査可能となった。当初計画していた調査から軽微な変更が必要ではあったが、おおむね予定通りの調査データが得られた。
中部地方のA県B市の小学6年生、中学3年生対象の質問紙調査データを収集した。これに2019年度にすでに収集した(1)小学4年生~小学6年生、中学1年生~中学2年生の学力データ、(2)保護者対象の質問紙調査データを結合させることで、高い学習成果を上げている児童生徒の多い学校を把握し、その特徴を量的データより明らかにした。
データの分析報告は、次の媒体で行った。第一に『中央調査報』では、初年次分析報告を掲載した。児童生徒間および学校間での学力格差様相をマルチレベル分析によって実証的に示した。第二に、日本教育社会学会において、就学前教育の効果検証を決定木分析および傾向スコアマッチングによって示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既述の通り、2020年度には、新型コロナウィルス蔓延の影響を受け、調査の実施自体が危ぶまれた。しかし、A県B市教育委員会の協力を得ることで実査可能となった。当初計画していた調査から軽微な変更が必要ではあったが、おおむね予定通りの調査データが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には、前年度の小学6年生が中学1年生に進級している。よって、今年度の中学1年生への質問紙調査および学力調査データを収集し、4年分のパネルデータを構築することを目指す。さらに、量的データの分析を踏まえA県B市の教育委員会および教師への聞き取り調査を実施する。こうした量的・質的の2つの分析から、2021年度には学力格差是正に向けた政策的、実践的なインプリケーションを得る。具体的な分析課題は以下のようである。
第一に、成長曲線モデルによって、学校レベルの変数が学力格差にどのように影響を及ぼすのかを分析する。成長曲線モデルから得られた結果を教育委員会および教師への聞き取り調査の結果統合する。第二に、就学前教育と学力格差の関連を分析する。分析手法には、反実仮想の枠組みにおける傾向スコアマッチングを用いる。これにより、就学前教育の効果をより精度が高い手法で検証することが可能となる。これらの研究成果を、日本教育社会学会、日本教育学会、日本家族社会学会などで報告することを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題で収集したデータ分析の成果をまとめた報告書を2020年度内に刊行予定であったが、刊行が遅れたため2021年度の刊行となった。2021年度に刊行となったためその経費として使用する。本書についてA県B市の教育委員会の教育関係者やその他の教育学者から意見を伺うことで、2021年度以降の分析に活用することを計画している。
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