研究課題/領域番号 |
20K13917
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
田村 徳子 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 准教授 (10738850)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 学校 / ブラジル / 子どもの権利 / 子どもの参加 / 選挙 |
研究実績の概要 |
3か年の研究計画のうち最終年度にあたる令和4年度には、当初の予定では現地調査で収集したデータを分析し、校長直接選挙における子どもの参加の実態を明らかにする計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大により現地調査ができなかったことにより、この計画を大きく見直す必要が生じ、前年度に引き続き、①ラテンアメリカ地域における子ども観の把握、②コロナ禍での校長直接選挙に関する文献資料の収集・分析、③コロナ禍でのブラジルの学校教育の最新動向の把握という3つの作業を進めた。加えて、④ブラジルの学校における子どもの参加事例の調査をおこない、ブラジルにおける子どもの権利と参加のあり方をより幅広く把握することをめざした。 ①については、特にブラジルにおける子どもの権利に着目して文献資料を収集し、分析をおこなった。②については、特にパラナ州クリチバ市における校長直接選挙の規定変更についての議論に関する情報を収集した。③については、ブラジルの教育行政機関や国際機関、フォーリャ・デ・サンパウロ紙が提供する文献資料を収集し、最新状況の把握に努めた。④については、特に子ども参加型予算の取り組みに着目し、サンパウロ州ジュンディアイ市の「子ども委員会」や同州サント・アンドレ市の「参加型予算」、サンタカタリーナ州ジョインビレ市の「青年会議所」、ミナスジェライス州ベロオリゾンテ市の「子ども参加型予算」に関する文献資料の収集と分析をおこなった。 これらの作業をとおして、ブラジルの学校における子どもの権利のあり方に関する論文執筆に着手し、国内外の学術雑誌への投稿に向けての準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第3年目にあたる令和4年度は、初年度及び第2年度で得られた文献調査および現地調査の情報や知見を総合的に取り入れ、校長直接選挙における子どもの参加の実態を浮き彫りにするとともに、ブラジルにおける子どもの権利に対する子ども自身と大人の捉え方を実証的に明らかにする予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初予定していた現地調査の実施ができなかったため、本研究の要である校長直接選挙における子どもの投票行動に関するデータが入手できず、このことが前年度に引き続き、本研究の計画に大幅な遅れをもたらしている。 一方で、ブラジルの学校における子どもの参加事例として、子ども参加型予算という取り組みを知り得ることができ、分析対象として加えることができた点は、ブラジルにおける子どもの権利のあり方を明らかにしようとする本研究をさらに深化させることにつながったと捉えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究期間の1年延長が認められたことから、令和5年度においては、令和4年度までにできなかった現地調査をおこなうとともに、積極的な成果の発信に努める予定である。現地調査に関しては、新型コロナウイルス感染拡大の影響はほぼないと見込まれることから、8月頃にブラジルへ渡航し、校長直接選挙に関するデータを収集する方針である。しかし、調査対象のパラナ州やリオグランデドスール州においては、すでにコロナ禍で校長直接選挙が実施されており、令和5年度は実施年度にあたらないため、教育行政局や学校へ訪問し、コロナ禍での校長直接選挙、特にインターネット投票に関する情報の収集に努める。また、海外への渡航が困難な場合は、zoomやメールを活用して必要な情報を得るようにする。 以上の現地調査をふまえたうえで、本研究の全体的な成果として、これまで収集・分析してきた情報を総合的に考察し、国内外への論文投稿および学会への発表をおこなうこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度は新型コロナウイルス感性拡大が収束に向かったものの、ブラジル渡航に際しては不確定要素が多く、また調査対象者との調整もうまくいかなかったことから、現地調査を見送った。このことが費用の繰り越しが生じた主な理由である。 令和5年においては、新型コロナウイルス感性拡大における影響はほぼないと見込まれるため、海外渡航が問題なくできると想定している。したがって、主にブラジルへの現地調査や国内外の学会の参加のための旅費として研究費を使用する予定である。加えて、国際ジャーナルへの論文投稿や国際学会への発表も計画しており、そのための英文校閲にも研究費を充てる予定である。
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