研究課題/領域番号 |
20K13921
|
研究機関 | 岡山学院大学 |
研究代表者 |
福野 裕美 岡山学院大学, 人間生活学部, 准教授 (50615549)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | AVIDプログラム / アドバンスト・プレイスメント / 大学進学支援 / 学区教育委員会 / サンディエゴ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、米国のAVID(Advancement Via Individual Determination)プログラムを事例として、持続する大学進学支援策の条件を明らかにすることである。AVIDプログラムは社会経済的に不利な状況にある生徒のための大学進学支援策である。参加者はマイノリティや低所得家庭の生徒たちであるが、多様な支援を受けて、毎年7割以上が4年制大学に進学している。 日本では2020年4月から、経済的な面で困難を抱える生徒たちを対象とする高等教育の無償化が実施されているが、生徒たちの大学進学機会を実質的に保障するためには経済的な支援とともに、教育的な支援を充実させることが不可欠である。現在、より安定的で持続的な大学進学支援策の構築が課題となっている。 米国のAVIDプログラムは1980年にカリフォルニア州の学校で創設され、途中で財政上の危機に直面しながらも、40年近くにわたり学校現場で実施され続けてきた。本研究では持続する大学進学支援策の条件を解明するため、特に学区教育委員会が果たす機能に着目し、次の2つの点について明らかにする。(1)1つの学校で始められたAVIDプログラムはどのようにして他の学校に普及したのか。(2)現在AVIDプログラムはどのようにして運用されているのか。 2020年度は次年度以降に行う事例調査に向けて、関連する先行研究を渉猟し、理論枠組みの構築に取り組んだ。さらに米国における大学進学支援に関する取り組みの歴史を整理し、AVIDプログラムの位置づけを明確にした。その成果は学内紀要にて報告した。 また、これまでに収集した資料に基づき、AVIDプログラムが2003年にカリフォルニア州サンディエゴ学区教育改革の一環に採用された経緯について分析し、論文発表に向けて準備を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では米国カリフォルニア州の3つの学区において事例調査を行うことを計画しており、当初は2020年度に次年度以降の本調査に向けた予備調査を行う予定であった。具体的には事例学区を訪問し、資料収集、インタビュー対象者の選定、質問項目の検討などを行うことを考えていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、訪問調査を実施できない状況が続いているためである。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究で明らかにする課題の1つである、AVIDプログラムが2003年にカリフォルニア州サンディエゴ学区教育改革の一環に採用された経緯については、現在まとめの段階に入っており、論文発表できるように鋭意作業を進める。米国カリフォルニア州への訪問調査については、新型コロナウイルス感染症の収束状況しだいであるため、今後訪問調査が可能になれば迅速に実施する。他方でオンラインによる情報収集にも取り組む。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、当初予定していた米国への訪問調査を行うことができなかった。今後状況が改善されしだい、2020年度に行うはずであった予備調査を迅速に実施し、さらに本調査に取り掛かる計画である。
|