研究課題/領域番号 |
20K13924
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研究機関 | 公益財団法人世界人権問題研究センター |
研究代表者 |
有江 ディアナ 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 専任研究員 (50816527)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学習権 / 移民 / 子どもの権利条約 / スペイン / 子ども |
研究実績の概要 |
本研究を進めていくうえで、スペインの法枠組み上、国籍及び在留資格を問わず教育についての権利が認められているはずだが、自治都市(アフリカ大陸北部にあるスペインの飛び地)において、隣国であるモロッコからの非正規外国人の子どもらは学校に通えずにいたことが明らかになった。その後、スペインも批准する子どもの権利条約の個人通報手続に関する第三選択議定書に基づき、スペインで権利を侵害された一部の個人(子ども)が条約機関に直接訴え、救済を求めた結果、条約機関である子どもの権利員会は「見解」を採択し、教育についての権利等への違反を認定したため、スペイン政府は同判断を重く受け止め、就学していなかった子どもらの学校への入学を認めたことも確認した。他方、就学年齢ではない子どもらの状況は変わっていないという状況から他の自治州に移り住んでいることやアフリカ諸国出身者を中心とする、親及び保護者の同伴がない子どもが、一人でスペインに入国する際の子どもの保護と教育の問題が浮き彫りになった。 2023年度は、上述の研究を振り返り、新たに浮き彫りになった2つの課題も踏まえながら研究を進めた。就学義務年齢を超過した非正規外国人の子どもが、家族と一緒に、あるいは親及び保護者の同伴がない場合も、他の自治州に移動した後の市民団体による言語学習支援と職業訓練の資格取得の支援を行っている実態の調査を行った。今回の調査で築いたネットワークによって、特殊な地域におけるこの支援活動の実態について2024年度は検証していく。これらとの関連で、スペインにおける学校から離学する若者らについて学会報告や論文等の執筆を行っており、外国人の子ども・若者の状況については、別途執筆中である。この他、外国人のマイノリティとしての教育についての権利を検討する論文を執筆し、また、他の地域におけるこれらの子どもの権利の状況を検証し、学会報告を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度及び2021年度は、感染症の影響に伴い現地調査は断念したが、文献調査を進め、オンライン会議等を開催することによって、物理的に現地に行くことはできなかったものの、実態の把握のためのヒアリングを進めた。2022年度より、これまでの研究と構築した現地ネットワークにより、現地調査を行い、スペインの中でも特殊な地域について、保障されているはずの学習権の実態を探り、2023年度では、見えてきた新たな課題をもとに、一部地域の関係者に状況の聞き取りをすることができた。これらの調査をもとに、学会発表や関連論文等を執筆した。 他方、文献や聞き取り調査によって、他の特殊地域における状況についての現地調査も必要であったが、2023年度は訪問時期の調整が困難だったため断念し、本科研を延長して2024年に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、引き続き文献調査を行いながら実態調査として関係者へのヒアリングや現地調査を実施する予定である。2023年の現地の聞き取り調査によって構築したネットワークによって、引き続き特殊な地域(自治州)、スペインの離島に着目して研究を進める。これらの地域(自治州)では、2割弱が外国人生徒であり、父母のどちらかが外国人である割合が3分の1~およそ半分の地域(自治州)であり、教育課題がみられる。また、学齢期のみならずその後の若者の進学・就職等の状況について、そして、アフリカ諸国からの親及び保護者の同伴がない外国人の子どもを受け入れている地域(自治州)における子どもの保護問題についても留意しながら研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
今回「次年度使用額が生じた理由」として、新型コロナウィルスの影響により、1年目・2年目は、現地調査を実施することが不可能で、3年目の2022年度はようやく現地調査を実施しているが、当初予定していた地域の中から絞って調査先を選択している。現地の学校がある時期での日程調整となると、複数の離れた地域への現地調査が困難だった(これらは首都から離れており、便数が限られる)ことに加えて、欧州行き(欧州内・国内)の航空運賃及び現地宿泊先等の価格高騰化に伴い、最終年度であった2023年度の本研究課題を延長し、未使用額分は2024年度に実施する現地調査(日程と場所をさらに絞って対象地域を選択)等に有効的に使用する予定である。
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