研究課題/領域番号 |
20K13938
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
青木 賀津子 日本女子大学, 家政学部, 助教 (00829351)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 低年齢児保育環境整備状況 |
研究実績の概要 |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大による移動制限などから、2020年度に予定していた海外調査による4つの教育思想(モンテッソーリ教育、ハンガリーの保育実践、レッジョ・アプローチ、テ・ファーリキ)の文献・基礎資料の収集・分析が困難となったことから、2020年度は、2021年度以降に予定していた国内の乳児保育施設における実態調査を先行して実施した。具体的には、待機児童が多くみられる東京23区を対象として、3歳未満児の乳児保育施設の施設整備状況を調査を実施した。 その結果、2015年の子ども・子育て支援新制度以降、東京都では3歳未満児の待機児童の受皿として、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育などの地域型保育事業による認可施設が整備されつつあり、認証保育所の施設数は減少傾向にあることがわかった。また、各区の認可保育施設の整備状況調査から、家庭的保育事業の有無など、保育の質担保に対する各区の考え方に違いがみられ、小規模保育施設においても、3歳以降の安定的な受け入れ先確保の観点などから、各区で整備方針に違いがみられた。また、整備工程においては、4月開園にこだわらず、設計工程や開設時期を柔軟なものとする区もみられ、各園の保育実践に見合った環境づくりが実現するためには理想的と考えられる。 当調査結果は「3歳未満児を対象とした東京23区の保育施設の整備状況について」としてまとめ、建築学会2020年度大会学術講演梗概集に発表している。 この研究成果により、0・1歳児を対象とした乳児保育施設は、保育所・認定こども園に加え、小規模保育や家庭的保育など、施設形態が多様化していることが明らかとなった。よって当研究の目的である、保育・教育思想における空間・環境づくりを具現化するにあたっては、今後、これらの多様な施設形態に合わせた空間・環境づくりの検討を実施していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、2020年度に予定していたオランダ、ハンガリー、スウェーデン等での海外調査が実施できず、モンテッソーリ教育、ハンガリーの保育実践、レッジョ・アプローチの文献・基礎資料の収集・分析が困難となったため、現在までの進捗状況は当初研究計画からやや遅れているが、2021年度以降に予定していた国内の保育施設調査を先行して実施したため、全体の研究計画には支障はないものと考える。 併せて、2020年度の国内保育施設調査時に、予備調査として、2021年度以降に施設調査が可能な保育施設についても調査している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響で、現時点では、計画していた海外保育施設調査が実施できない状況であるため、今後はオンライン調査への切り替えることも視野に入れ、当初予定通り、現地の保育者からのヒアリング調査を実施するよう検討している。 2020年度に実施した国内保育施設での調査では、乳児保育にレッジョ・アプローチ等の保育思想を実践している保育施設をピックアップすることができた。これらの保育施設を対象として、2021年度は調査を実施し、現在日本で整備されている乳児保育施設の多様な施設形態に合わせた空間・環境づくりの検討に向けて分析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の拡大により、2020年度に予定していた海外保育関連施設調査が実施できなかったため、未使用額が発生した。2020年度の未使用額と合わせ、2021年度は海外の保育施設へのオンラインによるヒアリング等をおこなうための経費、人件費に使用予定である。
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