研究課題/領域番号 |
20K13944
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研究機関 | つくば国際短期大学 |
研究代表者 |
仲条 幸一 つくば国際短期大学, 保育科, 講師 (80838201)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 幼児 / 音楽表現 / 可視化 / ICT / 聴く力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ICTの活用によって可視化される音楽表現活動を幼稚園で実践について、および幼児と共有する活動を通して子どもの「聴き方」に与える影響を考察し、保育の質の向上を音楽経験の視点から目指すことである。当該年である2020年度においては、幼児期の音楽表現とICT活用が関連する論文や、サウンドエデュケーションやドキュメンテーション等に関連する論文の収集・論文精読を進めた。これらの論文から得られた示唆によって、録音・ループ機能・加工編集等のプログラミングが可能なDAW(Digital Audio Workstation)について、販売・フリーで提供されているソフトウェアの特徴や機能を概観、幼児期の音楽教育に援用できる可能性を検討し、実践にあたっての環境整備の検討を行った。音を波形として可視化しエディットを可能とすることや、本来一過性となってしまいがちな即興演奏を記録として残す機能については多くのDAWにプログラムされている機能であるが、操作性は開発元によって大きく異なることが確認できた。またDAWの中に備わっているループ機能ではなく、ループマシンを活用することによる利便性の検討も行った。これらの状況から、いくつかの音を即興的に重ねることのできるループマシン活用にあたっての環境整備・実施条件が整った状況である。 また、幼児教育の指導経験のある教員や現役の保育士を対象とした、音素材やICTの利活用に関してインタビュー調査も実施し、まとめることができた。 これらの条件をもとに2021年度は学生および幼児を対象とした実践を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画に示していた【予備研究】については無事に進行することができ、【研究I】を実施するための環境設定・プログラムを整備することができた。しかしながら2020年9月~2021年3月に予定していた 【研究I】については、新型コロナウイルスの感染の影響に伴う環境整備の遅れ、オンライン授業の実施等により、2020年度内での実践が不可能な状況であった。【研究Ⅰ】および【研究Ⅱ】で実施する研究については、現時点では実施できる見込みのもと調整を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗は新型コロナウイルスの影響により、やや遅れている。次に示す通りの【研究Ⅰ】および【研究Ⅱ】を実施するが、コロナウイルス感染拡大の状況によっては、本研究の制限が余儀なくされる現状も踏まえ、早期による実施と対策を検討する。 【研究Ⅰ】授業実践の録音とループ機能をもつICTを活用して音楽作品をつくり、その作品を可視化し聴取できるドキュメンテーションを用いたプロジェクトについて、大学生20名程度(年齢19~20歳)を対象に行い、音楽作品の創作活動を試みる。 【研究II】 年齢4~6歳の幼児の年中・年長クラスを対象に研究実践を行う。実践は、サウンドエデュケーション(身近な音に耳を澄ませる活動)の中で見つけた音の鳴るモノや自然の音、身の周りの音をループマシンの活用によって多重録音し、音を即興的に構成する音楽あそびを行う。その活動内容は【研究I】の成果として提案されるドキュメンテーションの手法によって、子どもの学びの成果である音楽表現を可視化し、幼児と共有できるアーカイブに記録していく。継続した実践の中で変化する子どもの音楽表現を質的に分析し、子どもの「聴き方」に関する学びについて考察する。 なお当初の予定では、幼児の保護者へのヒアリングや6ヶ月に渡る継続した実践を予定していた。実践の協力依頼先である幼稚園と連携し、可能な範囲での実践協力を依頼する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用計画書に申請していた「旅費」の項目については、コロナウイルスの影響による学会中止やオンラインでの実施により使用の必要がなかった。「人件費・謝金」についても、昨年度はインタビュー対象者の謝金の受け取りの拒否、コロナウイルスの影響による研究実践の遅延により使用がなかった。 「旅費」および「人件費・謝金」については次年度使用額として必要に応じて使用することを前提に検討しつつ、オンライン参加や研究実践のために必要な「その他」の項目としての使用の検討も進める。
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