研究課題/領域番号 |
20K13945
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
越智 真奈美 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (00749236)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | レジリエンス / 子どもの健康格差 / 子どもの貧困 / 地域要因 / 防御・促進要因 / 縦断調査 / 施策評価 / ライフコース |
研究実績の概要 |
本研究では、貧困に起因する社会的不利に対し、これらに適応し良好な状態を保つ子どもの能力(レジリエンス)に着目する。子どものレジリエンスを防御・促進する要因について、家庭や地域、学校における要因の経年的な影響を定量化することを目的としている。これにより、貧困などの不利な状況にあっても、この負の影響を防御し、子どもの良好な健康や発達を促進する要因について、家庭や地域、学校における有効な対策の可能性を検討する。 初年度である本年度は、1)研究協力自治体であるA区と、当年度の区内小・中学生を対象とした調査について調整、および2)子どものレジリエンスを構成する要素と、レジリエンスを防御・促進する要因の測定指標の検討を行った。 1)令和2年度は、研究協力自治体A区の区立小学校6年生の保護者と子どもに対する縦断悉皆調査(69校、対象約5000世帯)、および中学2年生の保護者と子どもに対する横断調査(中学校7校、対象約600世帯)を実施した。これらの調査は、2015年度からA区と継続して行っている。 2)調査実施に先立ち、子どものレジリエンスを構成する要素や、この要素に関連する可能性がある家庭、地域、学校における要因について、新たに調査するべき項目や詳細に尋ねるべき項目があるか検討した。そのため、2015年度から令和元年度までの調査のデータを分析し、上記の要因と子どものレジリエンスを構成する要素との関連について整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響から、A区担当者や他機関の研究者との頻繁な打ち合わせが難しくなっていた。このため、当初はA区関係部署の承諾のもと区内地域活動について情報を収集し、他地域との比較が可能なデータ整理を行う予定であったが、次年度以降に再調整することとした。一方当初の計画通り、区立小中学校における調査は実施し、集計データを公表するに至っている。また、前年度までに実施した調査データを用いて、子どものレジリエンスに関わる学校の要因や、家庭での経年的な要因について分析した結果を学会および学術論文にて公表した。
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今後の研究の推進方策 |
引きつづき調査協力自治体における新型コロナウイルス感染対策に配慮しつつ、昨年度実施が滞った、区内地域活動についての情報収集を検討する。地域情報の例としては、学習支援拠点の分布や開催頻度、子ども会組織の分布、子どもの居場所の提供を目的としたイベントや場(子ども食堂など)、町会・自治会活動の規模などを考えている。 また今年度までに得られたデータを統合し、小学1年生から6年生までの縦断データと地域活動の情報を分析できるデータセットを作成する。貧困や被虐待経験など不利な環境下にある子どもについて、レジリエンスを防御・促進する効果をもつ地域や学校の要因を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大に伴い対面での調査打合せを控え、また学会発表のための移動を制限したため、交通費や旅費を使用しなかった。今後の感染状況を踏まえ、これらの活動は再開予定である。
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