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2020 年度 実施状況報告書

脳機能特性およびDNAメチル化を用いた愛着関連障害の生物学的診断の確立

研究課題

研究課題/領域番号 20K13950
研究機関福井大学

研究代表者

濱村 尚子  福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 特命助教 (20869945)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード不適切養育 / 反応性愛着障害 / 児童虐待 / fMRI / DNAメチル化
研究実績の概要

児童虐待などの不適切な養育経験は子どもの発達に影響を与え、生涯に渡り負の影響を及ぼす。さらに、成人期にはうつ病やアルコール依存症など多くの精神疾患の発症リスクになるため、被虐待児に対する適切な介入は必要不可欠である。児童虐待などの不適切な養育経験(CM:Child Maltreatment)によって引き起こされる反応性愛着障害(RAD:Reactive Attachment Disorder)や脱抑制型対人交流障害(DSED:Disinhibited Social Engagement Disorder)は、神経基盤が十分に分かっておらず、臨床診断が可能な客観的な診断法も未だ確立されていない。本研究は、不適切養育の経験のあるCM群と不適切養育の経験のないnon-CM群を対象に、機能的MRI(fMRI)および唾液から採取したDNAメチル化を用いて生物学的な視点から両群間の相違性を明らかにすることが目的である。それぞれのDNAメチル化と脳機能の関連解析を行うことで、RAD/DSEDの分子メカニズムを明らかにし、生物学的な指標に基づいたRAD/DSEDの診断方法を確立することを目的としている。
当該年度において、9歳から18歳までのCM群30名とnon-CM群30名を対象に脳画像データおよびDNAメチル化データを収集した。また、両群それぞれの養育者に対し、RAD/DSED症状に関するアンケートおよび半構造化面接を施行し、得点化した。RAD/DSED症状の得点は両群間で明らかな有意差を認めた。今後は脳画像データとDNAメチル化データとの関連解析を行う予定としている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度は、CM群30名とnon-CM群30名を対象に脳画像データおよびDNAメチル化データの収集を行い、それぞれのRAD/DSED症状の評価を行った。CM群とnon-CM群においてRAD/DSED症状の有意差を認めた。予定していた実験は順調に実施できており、本研究課題をおおむね予定通り遂行できた。

今後の研究の推進方策

CM群30名とnon-CM群30名の脳画像データ、DNAメチル化データおよびRAD/DSED症状データの関連解析を行う。脳画像とDNAメチル化との関連を調べることで、どのような分子メカニズムで脳機能に影響を及ぼすのか明らかにすることができる。先行研究では不適切な養育によって、子どものオキシトシン受容体遺伝子配列の一部(CpG5, 6)にDNAメチル化が増え、それが他者との愛着形成に重要とされる脳の左前頭眼窩皮質の容積低下と関係していることが報告されている。この研究を背景に、RAD/DSED症状との関連を明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

次年度は蓄積された脳画像データの解析およびDNAメチル化の解析を行う予定としており、解析に必要な諸費用を要する。現時点で被験者数は当初の目標人数に達しているが、次年度も実験の実施は継続するため、実験装置の使用料、実験参加者への謝金など研究費用が見積もられる。それらの費用は繰越した研究費で充填する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 不安または恐怖関連症群 強迫症 ストレス関連症群 パーソナリティ症 (三村將編)2021

    • 著者名/発表者名
      濱村尚子、友田明美
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      中山書店
    • ISBN
      978-4-521-74823-8

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公開日: 2021-12-27  

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