研究課題
若手研究
本研究では9-18歳の施設養育群28名と非施設養育群33名を対象に機能的MRIを用いて脳画像データを収集し、安静時機能的結合(RSFC)の解析を行った。扁桃体と海馬を基点としたSeed-to-Voxel解析を行った。また、両群それぞれの主養育者に対し、RAD/DSED症状に関する半構造化面接を施行し、得点化した。施設養育の有無を主効果とした場合、有意な群間差のある結合部位は認めなかった。RAD症状の中でも対人関係や情動の不安定さの項目(RADb症状)を主効果とした場合、左側の海馬を基点としたところ、右側の島皮質などを含むクラスターとの間に有意差のある結合を認めた。
精神神経科学
幼少期の逆境的体験のある子どもに対するRADの過剰診断およびDSEDの過少診断が問題となっている(Allen & Schuengel, 2020)。子どもが幼少期の逆境的体験に曝されることの影響と、それを背景にRAD/DSED症状を呈することを適切に区別し、評価を行う必要がある。適切な治療に繋げるためにも、本研究課題では、幼少期の逆境的体験によって引き起こされる変化とRAD/DSED症状に関するメカニズムについて、生物学的な視点から評価可能とすることを目標としている。