研究課題
若手研究
本研究では生態想像力を軸としたESD(Education for Sustainable Development)の理論を構築し、実践ツールの開発によってそれを具体化することを試みた。研究の結果、幼児期のアニミズムに始まる身近な事物を〈生きている〉と感じる想像力が、生物・非生物を含めた多様な事物をケアすることを支え、その事物をめぐる生の関係性の思考につながることが見出された。実践を支援するカリキュラム地図をはじめとしたツールを開発し、幼児期から児童期を貫くESDモデルが提示された。
臨床教育学
本研究は、アニミズムの世界を生きる幼児の体験が、その後の生命の関係性への学びへと連続していることを示した点に学術的意義がある。さらに、子どもと共に〈生きているもの〉どうしの関係を想像し探究するESD実践理論を構築し、生態想像力の発達を軸として幼小接続期を一貫して見通すESD実践理論を示した点に社会的意義がある。また、アメリカ教育学に端を発した「生態想像力」概念の可能性を日本の教育学の文脈から発掘した点や、絵本や散歩という体験の新たな教育学的意義を見出したことも重要な成果となった。