研究実績の概要 |
本研究の目的は,保育者の表現観と実践知を整理し,それぞれの表現活動スタイルと子どもの育ちにどのような関連性があるのかを明らかにすることである。当該年度は、造形表現活動における保育者の表現観にはどのようなものがあるのかを明らかにするために、インタビュー調査により、保育者の専門性を特別支援教育担当教員の専門性と比較・検討した。その結果、保育者は、まず目の前の子どもの姿を見て、それと保育者の願い・教育的意図を照らし合わせながら保育者の働きかけを行い、暫定的な内面理解をしていた。子ども理解の特徴として、子どもの内面理解へ向かう動機に「わからなさ」があること、子どもの表出・行為からの読み取る言葉に頼らない内面理解、感覚的・情動的つながりの重視が挙げられる。 造形表現活動の活動・指導スタイルについては、(1)子どもが主体になって行う「自発活動」、(2)保育者が選んだ課題を中心に行う「課題活動」、さらにその間で(3)保育者の発問と指示によって誘発され,子どもが動く「触発的活動」の3つの型に分類できる(槇, 2008)。これらのスタイルのどれをとっても、子どもの内面理解は不可欠なプロセスであるが、その理解をどの程度指導につなげるか、個々の子ども理解をどの程度表現活動につなげるかには、スタイルによる違いがあると考察される。
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