研究課題/領域番号 |
20K13953
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研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
佐川 早季子 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90772327)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 表出 / 表現 / エピソード / 遊び |
研究実績の概要 |
保育現場での表現活動の指導は、保育者の表現観に応じて、多様な実践が行われている。保育者がどのような表現観をもち保育実践を行っているかを分析するために、本年度は、子どもの表出・表現を保育者がどう捉えているかという観点から、(1)遊びの中での子どもの表出・表現をどう見るかについての保育者へのインタビュー及び(2)子どもの表出・表現を記述したエピソードをめぐるエピソード研修の研究を行った。 (1)では、5歳児クラスの8ヶ月間の観察から、「気になる子」を含む集団の仲間意識が変容する過程で、遊びの中の子どもの表出・表現を保育者がどのように捉えるのかを明らかにすることを目的に研究を行い、学会で発表した。収集した12事例を 4つの時期に分け、保育者へのインタビューに基づいて考察した結果、第1に、遊びのおもしろさやその要素が媒介となり、焦点観察児と彼を含む集団の仲間意識が変容していた。第2に、仲間意識の変容には、子どもの表出・表現の理解と遊び理解に基づき、遊びの提案をする保育者の援助が必要不可欠であった。(2)では、参与観察した2園のエピソード研修での協議会から、保育者は、子どもの言葉にならない表出・表現を捉えようとしていることを示した。エピソード研修で、保育者は、子どもと保育者のどちらにも属さない「空気感」「言葉ではない、そこで感じるもの」「雰囲気」をエピソードに書くべきであることが語られていた。これらの言葉にしがたい位相について、「情動」を手がかりに考察した。エピソードを書く過程は、子どもが感受する世界に再び身を置き、情動を言葉で表そうとする試みであり、エピソードを話し合う過程は、言葉を通して情動を感じ取り、他者とともに、子どもが感受する世界、表現する世界を捉え直す試みといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学会発表は行ったが、論文化が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究をまとめ、論文投稿を行い、成果発信を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿が遅れているため、そのためのデータ整理や投稿準備にかかる費用を使用しなかった。次年度は、残された額を成果発表に使用する予定である。
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