研究課題/領域番号 |
20K13965
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研究機関 | 別府大学短期大学部 |
研究代表者 |
菅原 航平 別府大学短期大学部, その他部局等, 講師 (90768540)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 放課後児童クラブ / 発達障害 / 職員研修 / 育成支援 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、放課後児童クラブにおける発達障害児等への育成支援の質を向上のために必要な職場内研修(OJT)や職員会議についての現状と課題を把握するための質問紙調査を実施した。COVID-19感染拡大の影響により、質問紙調査は当初予定していたものよりも規模を縮小して、放課後児童支援員等123名を対象として実施した。調査結果から、市町村や運営主体により職員研修等に対する取り組みに大きな差があることや児童クラブの中で研修や育成支援の改善を中核となり進めていく指導的職員が不足していること、職員会議の時間が1日約30分を下回ると育成支援の質の主観的評価が低下すること、児童が下校する前の時間や退所後の時間など子どもと直接関わらないノンコンタクトタイムが育成支援の質に良い影響を与えていることが示唆された。また、コロナ禍ということもありオンラインでの研修への関心が高く、研究を充実させるために今後はオンラインを活用した研修についても対象として研究を進めていく。これらの成果は、放課後児童クラブにおけるOJTと育成支援の質の関連について(別府大学短期大学部紀要第40号 p.59-67)において報告した。 また、令和2年度は実施できなかったが、北部九州における大規模な質問紙調査実施のための打ち合わせを各県の放課後児童クラブ連絡会等と進め、調査実施に向けての準備を行った。この際、SACERS(育成支援の質の量的評価尺度)に関心を示す関係者もおり、これらを用いた量的な質の測定についても議論を深めることができた。このような量的評価尺度の活用については、短大生を対象とした予備調査を行い、今後の調査項目の構成の参考となるデータが得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の拡大により、当初予定していた規模での調査が困難であったため、規模を縮小して質問紙調査を実施した。当初予定していた規模の調査は実施時期を変更して、令和3年度後半に実施予定である。このため、当初の研究計画よりも「(3)やや遅れている。」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)令和3年度はCOVID-19の感染拡大状況を考慮しながら、年度後半に北部九州を中心とした放課後児童クラブ・放課後児童支援員等に対して、発達障害児等に対する育成支援及び関連する研修の現状と課題等についての質問紙調査を実施し、分析を進めると同時に学術誌への投稿の準備を行う予定である。 (2)令和2年度に実施した質問調査の結果について関連学会にて発表を行う。 (3)調査データの分析結果を踏まえて、クラブ内での職員研修プログラムのモデルを作成する。あわせて、モデルプログラムの実践について、協力頂ける放課後児童クラブとの次年度の実施についての打ち合わせを進めていく。この際、COVID-19の状況を鑑み、オンデマンド型の研修プログラムについても検討を行う。 COVID-19の感染拡大状況によっては今年度も大規模な調査が実施できない可能性もあるため、その場合は令和2年度同様に規模を縮小して可能な範囲で調査を実施する。また、インタビュー調査なども遠隔会議システムなどを活用して、感染拡大防止に留意しながら継続していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により当初予定していた質問紙調査の規模が縮小となり、また放課後児童クラブを訪問しての聞き取り、研究打ち合わせ、学会の研究集会参加なども実施できなかったため、予算の執行が発生しなかった。 令和2年度に計画していた調査等は、令和3年度に時期を変更して実施予定であり、おおむね当初の計画通りの執行を見込んでいる。
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