本研究の目的は、教科学習中の一部の時間に学習を含む身体動作を取り入れたアクティブ・レッスン・プログラム(以下、ALP)を開発し、日本の学校教育における実施可能性および効果を検証することであった。主要評価項目を身体活動量、副次評価項目を体力・運動能力、学力、実行機能、学習行動とした。この他、教員・児童によるプログラム評価および長期的実践における課題とその解決方法についても評価することとした。 助成初年度の2020年度は、プログラム開発に先立って、日本の教育環境におけるALPの導入可能性について検討した。国外で実践されているALPのプログラム内容を系統的に収集した上で、日本での活用例を示した。当該研究では海外のALPが日本の文化や学校教育環境には適さないものがあることを指摘し、日本でのALP開発における基礎資料を得た。 2021年度は小学校教諭と共同でプログラム内容を検討し、対象校のリクルートおよびベースライン調査を実施した。合わせて、身体活動と認知機能との関連についての文献レビューを行った。文献レビューでは、ALPにより子どもの身体活動を促進させることが生涯にわたって認知機能を良好な状態に保つ好機となる可能性を見出すことができた。 2022年度は介入校と比較対照校における身体活動量を3軸加速度計により評価し比較した。対象は沖縄県の3教育事務所管内における小学校10校に在籍する小学校第5学年児童763名であった。解析の結果、介入校と比較対照校との身体活動量の差は判然としないことが明らかとなった。
|