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2023 年度 実施状況報告書

理科における変容的アセスメントの方略モデルの構築と授業の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K13969
研究機関東京学芸大学

研究代表者

渡辺 理文  東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (30758363)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード評価の三角形 / 学習のための評価 / 教育評価
研究実績の概要

本研究では、理科において、自己調整学習能力の育成に寄与する評価方略モデルの構築と授業の開発を目的とする。全国学力・学習状況調査において、理科では、子どもが問題解決のために自律的に思考し、思考した内容を自分なりに表現する力に依然として課題があることが明らかになった。この課題の解決のためには、自分の学習を調整する力の育成が必要である。
子どもの自己調整学習を支える評価を行うための方略として「評価の三角形(assessment triangle)」に着目した。この評価の三角形は米国学術研究会議が提唱する評価のモデルであるである。「認知(cognition)」「観察(observation)」「解釈(interpretation)」の三つの要素から成る三角形である。評価の三角形に基づく評価活動とは「認知」の学習モデルに従って「観察」したデータを「解釈」することである。
この評価の三角形に基づいて、理科授業を計画・実践し、その実践した授業を事例として示した。事例を示すために、質的研究のエスノグラフィーを方法論的枠組みとし、参与観察を選択した。計画・実践した授業は、小学校第4学年「空気の温度変化に伴う体積の変化」とした。分析の結果、「評価の三角形」の要素である「認知」「観察」「解釈」を実現することができた。
具体的には「認知」で達成目標を決定し、「観察」ではノートの記述内容や発表内容、実験中の活動の様子などからデータを収集した。そのデータの「解釈」を座席表に整理することで「認知」で決定した目標の達成状況を捉え、さらなる達成に向けて次時の計画をした。
「評価の三角形」は、日本の理科教育に援用可能な評価のモデルであることを示すことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

小学校段階の理科において自己調整学習を支える評価活動を「評価の三角形」に着目して事例を提示することができた。しかし、中学校段階における実践はまだ計画段階である。

今後の研究の推進方策

中学校理科においても「評価の三角形」の実践事例の提示を目指す。また、小学校理科で学習内容の異なる実践事例を増やし、それぞれの実践の差異点・共通点を見いだす。そのような具体に基づいて、評価の方略モデルの精緻化を図る。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響で授業の調査に関して、学校への調査の受け入れの延期があり、授業実践で使用する「物品費」と研究補助の学生への「人件費・謝金」に余剰が生まれた。次年度ではデータの取得と分析、学会への参加において「物品費」「旅費」「人件費・謝金」を使用する。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 規準を知ることの価値~「自立する学び」を支える評価の実現~2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺 理文
    • 雑誌名

      初等理科教育

      巻: 654 ページ: 4-7

  • [雑誌論文] 評価に関する知識を整理して活用しようーアセスメント・リテラシーのモデルからの整理ー2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺 理文、杉野 さち子、森本 信也
    • 雑誌名

      理科の教育

      巻: 856 ページ: 48-49

  • [雑誌論文] 1977?2020年の『科学教育研究』のテーマと方法に関する研究動向2023

    • 著者名/発表者名
      荒谷 航平、岡部 舞、藤原 聖輝、三浦 広大、渡辺 理文、雲財 寛、大谷 洋貴、小川 博士、川崎 弘作、下平 剛司、田中 秀志、中村 大輝、長沼 祥太郎
    • 雑誌名

      科学教育研究

      巻: 47 ページ: 423-438

    • DOI

      10.14935/jssej.47.423

    • 査読あり
  • [学会発表] 理科教育における「評価の三角形」に基づく学習評価の実践2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺 理文
    • 学会等名
      日本理科教育学会 第73回全国大会
  • [学会発表] RESEARCH ON LESSONS BASED ON THE "ASSESSMENT TRIANGLE" IN ELEMENTARY SCHOOL SCIENCE IN JAPAN2023

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Watanabe
    • 学会等名
      9th Network of Inter-Asian Chemistry Educators Conference 2023
  • [学会発表] 質的研究勉強会における学びを現場の教員はどう解釈したのか?2023

    • 著者名/発表者名
      渡辺 理文、後藤 昭彦、森川 大地
    • 学会等名
      日本科学教育学会 2023年度第2回若手活性化委員会研究会
  • [学会発表] 飼育・観察を通じた生命尊重の態度育成を目的とした中学校における新たなメダカの授業提案2023

    • 著者名/発表者名
      枡本 健正、中西 史、渡辺 理文
    • 学会等名
      日本理科教育学会 第62回関東支部大会
  • [学会発表] 小学校理科における形成的アセスメントの構造と機能について2023

    • 著者名/発表者名
      田中 華、有泉 翔太、渡辺 理文
    • 学会等名
      日本理科教育学会 第62回関東支部大会
  • [学会発表] 小学校第6学年「土地のつくりと変化」の授業分析2023

    • 著者名/発表者名
      鶴田 響月、鶴田 麻也美、渡辺 理文
    • 学会等名
      日本理科教育学会 第62回関東支部大会
  • [図書] これからの理科教育はどうあるべきか2023

    • 著者名/発表者名
      久保田 善彦
    • 総ページ数
      140
    • 出版者
      東洋館出版社
    • ISBN
      9784491053868

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公開日: 2024-12-25  

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