研究課題/領域番号 |
20K13970
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
佐々木 智謙 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10781122)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 循環系 / 自然認識 / 中学校理科 / 小学校理科 / 教員志望学生 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,循環系に関する既存研究を概観するとともに,子ども(小・中学生)や教員志望学生等を対象にして,循環系に関する認識調査を行い,その結果を分析した。また,循環系に関する学習指導方策を開発するとともに試行した。得られた知見の一端(下記①②③)を,当該学会で公表した。 ①花形美遥・佐々木智謙・藤本浩平・松森靖夫(2022)「心臓の位置に関する科学的認識を志向した理科授業の試み-小学校第6学年を対象にして-」『日本理科教育学会第72回全国大会発表論文集』第20号,375.【要旨】小学校第6学年を対象にして,心音が聞こえる位置や心臓の断面図等を手掛かりにして,心臓の位置の認識達成を促す学習指導方策を開発して試行した。さらに,本学習指導方策の有効性についても検証した。 ②花形美遥・佐々木智謙・藤本浩平・松森靖夫(2022)「心臓の位置に関する学習指導方策の再検討とその試行-小学校第6学年を対象にして-」『日本理科教育学会関東支部大会発表論文集』第61号,26.【要旨】上記①(花形ら,2022)の授業実践の分析結果に基づき,より科学的な認識達成を志向した学習指導方策について再検討した。さらに,授業実践を試行し,結果等の概要についてもあわせて報告した。 ③佐藤蓮太・佐々木智謙・杉山雅俊・松森靖夫(2022)「ヒトの心筋の代謝に関する認識状態の分析-中学校第1学年を対象にして-」『日本理科教育学会関東支部大会発表論文集』第61号,27.【要旨】中学校理科と中学校保健体育において,循環系に関する単元学習前の中学校第1学年を対象にして,ヒトの心筋の代謝等に対する認識状態を調査して分析した。さらに,分析結果に基づき,中学校理科と保健体育科との学習に関する接続のあり方についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は,前年度に引き続き,ヒトの循環系に関する既存研究や教材教具等を精査するとともに,循環系に関する認識調査や理科授業実践等を行い,その結果を分析した。具体的には,小学校第6学年を対象にして,心音が聞こえる位置や心臓の断面図等を手掛かりにして,心臓の位置の認識達成を促す学習指導方策を開発して試行した。さらに,本学習指導方策の有効性についても検証した。その後,別の学校においても,心臓の位置の認識達成を促す学習指導方策を再検討し,実践を試行するとともに,その結果等を分析した。また,中学校理科と中学校保健体育において,循環系に関する単元学習前の中学校第1学年を対象にして,ヒトの心筋の代謝等に対する認識状態を調査して分析した。さらに,分析結果に基づき,中学校理科と保健体育科との学習に関する接続のあり方についても検討した。いづれの研究も,一定の成果を得ることができ,その研究成果の一端を,日本理科教育学会(全国大会・関東支部大会)で発表した。 なお,コロナ禍における諸々の制約等から,予定していた循環系に関する認識調査等が実施できないこともあった。今後は,コロナウィルスの感染状況等を注視しながら,引き続き,循環系に関する認識調査等を進める必要がある。上記の理由から,自己点検による評価を,(2)おおむね順調に進展している,と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,これまでに得られた知見等に基づきながら,子どもと教師のための「ヒトの循環系概念習得プログラム」を開発・試行して,教師の学び直しや授業改善の機会を創出するとともに,循環系に関する子どもや教師の科学的認識の達成を志向する。なお,得られた知見については,当該学会における学術論文への投稿,及び口頭発表等を行い,研究進捗評価結果等を収集するとともに,研究計画の修正・改善に資する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍における諸々の制約等から,循環系に関する認識調査等が実施できなかったり,当該学会の全国大会・関東支部大会がオンライン開催となったりしたため,旅費等が予定よりもかからず,次年度使用額が生じた。当初請求している助成金と合わせて,次年度に行う認識調査や,理科授業実践の動画分析等で使用する電子機器等の購入に充当する予定である。
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