研究課題/領域番号 |
20K13971
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
松岡 礼子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (50845998)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国語科メディア・エデュケーション / イギリス比較国語教育 / マルチモーダル・リテラシー / マルチモーダル・アプローチ / マルチモダリティ理論 / 社会記号論 / 教師教育 / コミュニケーション |
研究実績の概要 |
長編アニメーション映画の予告編を用いた小学校実践を、教員養成系大学の学部生対象に模擬授業としておこない、学部生の反応分析にもとづいて、国語科メディア・エデュケーションの可能性と課題を検討した。その成果は、第138回全国大学国語教育学会春期大会(オンライン)自由研究発表で報告し、共著論文「小学校におけるメディア教材を活用した国語科学習指導の可能性:初等国語科教育法を学ぶ学生反応の考察にもとづいて」を大阪教育大学国語教育学会編『国語と教育』46号に発表した。 イギリスの記号学者、ギュンター・クレス(1940-2019)の社会記号理論にもとづいたテクスト分析の手法、すなわちマルチモーダル・アプローチを用いて、模擬授業における授業者の身振りや発話を分析し、139回全国大学国語教育学会秋期大会(オンライン)自由研究発表で報告した。 メディア教材を活用した国語科学習指導プログラムの提案として、教科書の説明文教材「たんぽぽ」と絵本「たんぽぽ」の比べ読み・重ね読みを軸とした単元を構想した。低学年向けに、「すごいね!たんぽぽ」と、みずからの選んだ絵と言葉を組み合わせて伝える、高学年の国語科学習指導である。成果物の分析を通して、現代の小学生がいかにマルチモーダルな言語表現活動に慣れ親しんでいるかを実証した。そしてメディア教材としての優れた絵本の教材性を明らかにした。成果は、単行本として、今夏、渓水社より刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の発出により、一時、学校現場への立ち入りが難しくなり、基礎考察(共同研究に携わる大阪府下の小学校教諭との学習者実態把握)に遅れが生じ、教材開発についても第一段階パイロット実践の規模を縮小せざるを得なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
第二次パイロット実践(学習指導方法試案のパイロット実践と学習者反応の記録とデータ化およびそれにもとづくフィードバック協議、大阪府下の小学校での研究授業)を進め、学習指導開発に継続して臨む。新型コロナ感染症対策のため、予定したイギリス視察は中止とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ対策ですべての学会がオンラインとなり、旅費が発生しなかったため、次年度使用額が生じた。これらは翌年度の人件費・謝金の一部として使用する計画である。
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