研究課題/領域番号 |
20K13984
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
勝田 光 東洋大学, 文学部, 講師 (30792113)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自立した読み手 / 教科書ベースの授業 / リーディング・ワークショップ / 個人学習 / 共同学習 / 一斉指導 / 読むことと書くこととの関連 / アメリカの読むことの学習指導 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国語科で自立した読み手を育てるために、リーディング・ワークショップの利点と課題を明らかにすることだった。今年度最大の成果は、研究協力者である澤田英輔氏が筑波大学附属駒場高等学校で実践した教科書ベースの授業と、一人ひとりの生徒が自分の読みたい本を選んで一人で読む個人読書を核にしたリーディング・ワークショップを比較分析し、それぞれの利点と課題を明らかにし、両方をどう組み合わせて国語科における読むことの学習指導のカリキュラムを作っていけば良いかを提案したことである。この成果は、言語教育研究の領域で世界最大規模の学会International Literacy Associationの学術誌Journal of Adolescent & Adult Literacyに採択・出版された。また、研究協力者である澤田英輔氏の新しい勤務校である軽井沢風越学園に11月17日、18日の合計2日間訪問し、ワークショップ型の授業を核とする新しい学校において、澤田氏が現在どのような取り組みを行なっているのかを観察した。この観察により、従来、教科書ベースの授業とリーディング・ワークショップ、それぞれ切り離して実践していたことを、リーディング・ワークショップにおいて知識・スキルの教授場面を増やすことで両方を統合しようとしているのではないかという仮説を得た。この仮説に基づきながら、次年度以降、澤田氏による授業の観察を継続して行なっていきたい。その他、もう一人の研究協力者である筑波大学附属小学校の青山由紀教諭とオンラインで定期的にミーティングを行い、物語創作指導と関連づけた読むことの学習指導のあり方を検討した。さらに、アメリカの幼小中高等学校で収集したデータを整理・分析し、学会発表と論文投稿の準備をすすめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展していると考えている。四つの柱で作業を進め、それぞれ成果を得ることができたからである。1点目は、本研究の問い「自立した読み手を育てるために、どんな読むことの学習指導のカリキュラムであれば良いか」に直接答える成果をまとめ、国際誌に採択され出版することができたことである。2点目は、次年度につながる予備的なフィールド調査を軽井沢風越学園で実施することができたことである。3点目は、研究協力者の一人、筑波大学附属小学校の青山由紀教諭と定期的にオンライン会議を実施できたことである。4点目は、前年度に実施したアメリカの幼小中高等学校におけるフィールド調査のデータを整理・分析し、学会発表、論文投稿の準備をすすめることができたことである。以上より、現在まで順調に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、三つの柱で研究をすすめていく予定である。1点目は、研究協力者の一人である澤田英輔氏の勤務する軽井沢風越学園での定期的なフィールド調査である。感染症の状況によるが、研究代表者の新しい職場である筑波大学の人間系研究倫理審査委員会の審査を通った後、6月頃から月1~2回の頻度で実施したい。2点目は、もう一人の研究協力者である青山由紀教諭と物語創作活動を取り入れた読むことの学習指導の先行実践を整理して、投稿出版することである。3点目は、現在データの整理・分析をほぼ終えたアメリカの幼小中高等学校でのフィールド調査の成果を学会発表・論文投稿することである。こちらは、5月29日30日に開催される全国大学国語教育学会で発表後、8月末締め切りの同学会の学術誌「国語科敎育」に投稿して年度内に出版する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の流行により、軽井沢への出張が十分にできなかったためである。次年度、軽井沢に出張する費用に当てたい。
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