研究課題/領域番号 |
20K13989
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
吉川 雅也 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 准教授 (80802363)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ハプンスタンス学習理論 / 社会的学習理論 / キャリア支援 / キャリア教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ハプンスタンス学習理論が大学生のキャリア形成支援の現場で活用できるよう、ハプンスタンス学習の発生プロセスをモデル化すること、またキャリア支援のためのワークシートや教材などのツール類を開発することである。 初年度となる2020年度は研究計画のフェーズ1にあたり、ハプンスタンス学習の発生プロセスモデルの精緻化が課題であった。 研究計画に基づき本年度はハプンスタンス学習プロセスのモデルを検討するため、社会的学習理論などハプンスタンス学習理論に関わる諸理論のレビューを行った。またキャリア支援で活用できるツールにするため、社会的学習理論に留まらず、社会構成主義や特性因子論など、キャリアに関する諸理論を広く対象とし、それぞれの理論に基づいたキャリア支援の実践の取り組みを精査する作業を行った。 その結果、Krumboltzの過去の研究を元にハプンスタンス学習の4つのプロセスを理論化することができた。また社会構成主義的な視点からハプンスタンス学習の語りを通して行動変容を促すワークを開発し、その一部を実践することができた。 本年度の成果として、2020年11月に実施された日本産業カウンセリング学会第25回大会にて、「ハプンスタンス学習の発生確率を高めるグループ・インタビュー・ワーク-ハプンスタンス学習のプロセスにおける好奇心の重要性に着目して-」と題し、ハプンスタンス学習理論のプロセスモデルを提示し、またそのモデルに基づいたキャリア教育を実践した結果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度、フェーズ1ではハプンスタンス学習のプロセスモデルを構築・精緻化することであった。研究成果としてプロセスモデルの構築を行い、口頭報告を行うことができた。 ただし今回のモデルを構築する中で、より精緻なモデルに発展させる可能性が見出されたため、その点については今後の課題である。また新型コロナウイルス感染拡大下の行動制限等により、社会人インタビューについては十分に行うことができなかった点も今後の課題である。 一方、2021年度以降のフェーズ2を先取りし、ハプンスタンス学習モデルを活用したキャリア支援のワークを一部実施することができた。 これらを総合的に判断した結果、本研究はおおむね順調に進展していると考えるものである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目となる2021年度はフェーズ2にあたり、ハプンスタンス学習のプロセスモデルに基づいた教材やワークシートなどのツール開発を行うこととなっている。 このうちプロセスモデルの構築は初年度に実施したが、さらなる精緻化が可能と考えている。それはひとつにはハプンスタンス学習のプロセスモデルが線形ではなく円環構造を持つ可能性が見出されたためである。ふたつめの理由として、初年度の先行研究や関連文献のレビューを通して、ハプンスタンス学習理論のみを扱うのではなく、キャリアの諸理論が発展してきたプロセスや文脈、理論的背景を踏またうえでプロセスモデルを理解すること、ならびに社会構成主義など最新のトレンドを取り入れたうえでツール開発を行うことが必要だと判断したためである。 以上の理由により、2年目も引き続き理論的側面を重視してプロセスモデルの検討を行いながら、ワークシートや教材などのツール開発も進めていく予定である。 また社会人インタビューも2年目の予定にはいっているが、これは新型コロナウイルスの感染拡大状況等、社会情勢を考慮して進めていくこととする。
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