研究実績の概要 |
本研究の目的は、生物教育における児童・生徒のシステム思考を中心とした推論能力の育成に向けた具体的な指導方法、授業展開、教材開発を考案し、学校現場における実証的な分析を通して、その有効性を確かめることであった。特に本研究では、児童・生徒・教師と幅広い研究対象に実践を試み、一人でも多くの人に、システム思考の概念やそれに関わる事象の存在を認知してもらうことにも挑戦できた。そして、システム思考を中心とした研究アプローチをすることが、本研究の背景で言及した「考えて学ぶ生物教育」について、その可能性を考える1つの方法であると捉えている。 2023年度(最終年度)においては、2022年度に決定されていた本研究課題に対する研究論文の1件が、2023年8月に正式に全国公開された。その論文は、「理科におけるシステム思考に関する高等学校教師の認識の実態把握」(理科教育学研究,Vol.64 No.1,2023)である。 研究期間全体を通じた研究成果については、次のようにまとめられる。諸外国及び我が国の「システム思考」に関わる理論を精査し、我が国の高校生・高等学校教師を対象とした認識調査を実施できた(2020年度)。児童・生徒に向けてオンラインを通したシステム思考育成のための授業に関する試行的調査を行うことができた(2021年度)。中学生におけるシステム思考の育成を目指した生態学領域の教材開発、授業づくりを実践できた(2022年度)。本研究課題における研究論文1件を、全国公開することができた(2023年度)。
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