研究課題/領域番号 |
20K14009
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
中井 悠加 島根県立大学, 人間文化学部, 准教授 (40710736)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 詩創作 / ワークショップ / 実践力 / デジタルスペース / 教師の自信 / 国語教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、児童生徒の創造性育成に資する教師の詩創作ワークショップ実践力育成プログラムおよびルーブリックを開発することである。2年目である令和3年度はこれまでよりも日英共同の側面を強化し、(1)現場の教員が詩の創作指導に積極的に取り組む端緒となることを目指した詩創作ワークショップの実施(2)詩創作ワークショップ実践力を高めるための教員コミュニティの構築に主に取り組んだ。 まず1点目について、全国大学国語教育学会の公開講座として日英共同で実施を行う予定だった教員向けワークショップは、新型コロナウイルス感染者拡大の影響を受け共同実施者のイギリスからの来日が不可能となったため、オンラインで広く国内外に向けて実施した。ワークショップのインパクトは高く、なかでも特に「共有」が創作への自信を抱かせる機能として重要性をもつことを確認した。 2点目については、日本および英国における教師の詩創作ワークショップ実践力育成をめざしてファウンド・ポエトリーWebアプリケーションを独自に開発した。そして教員向けオンラインワークショップにおいて、教員が学び合うデジタルスペースとしての役割を担うアプリの可能性について検証した。本アプリケーションは、座標計算などの技術を使用することでファウンド・ポエトリーの手法がもつ教師の詩作への恐怖を取り除くという効果を損なわずにデジタル化することができている。それは一つの成果であるが、現時点ではアナログの再現に留まり、デジタル技術によって初めて追加されるアフォーダンスを十分には備えられていないという課題を残していることが分かった。 これらのプログラムの開発・試行より、特に詩創作ワークショップの実践力においては教師の自信とそれを支える創作経験・共有経験の重要性を認めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度も引き続き新型コロナウイルス感染者拡大の影響を受け、国外での研究活動はすべて中止が続いているが、デジタル技術の活用に切り替えることによってこれまで以上に日英共同によるプログラム開発が進んだと考える。その試行によって新たな知見を得、国内外に発信する論文・報告書としてまとめることができたこと(現在印刷中/投稿中)、それらによる日英共同研究の基盤が強化されたことはひとつの成果である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である令和4年度も、引き続き学会参加や国外への現地調査は難しい状況となることが予想され、研究発表はほぼすべてが論文およびオンラインに限られる。令和3年度の効果検証によって得られた知見をいかしてアプリの改善を行い、日本およびイギリスでのプログラム試行を行う。それらの試行から得られたデータに基づいて日英を比較しながら効果検証を行い、教師の創作能力とそれによる指導への自信を軸にしたルーブリックを形にすることを目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大を受け、計画当初の通り国内外へ調査や成果発表に行くことができない状況が続いたため、旅費を使うことが不可能だったため。今後もこのような状況は続くと予想されるため、アプリ開発およびオンラインでの試行・効果検証に重点を置き、それに必要な経費として適切に使用していく。 また、最終的に得られた研究成果を広く発信していくための費用として使用する予定である。
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