研究課題/領域番号 |
20K14013
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
大谷 洋貴 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (40825238)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 統計教育 / 数学教育 / 推論主義 |
研究実績の概要 |
本申請研究の目的は,推論主義の視座から現在の統計教育の問題点を考察するとともに,それを改善するアプローチを開発して提案することである。推論主義は統計教育改善のための有望な哲学として注目されているが,具体的にどのように改善し得るのかまではまだ研究がなされていない。問題点の特定とその改善のためには,推論主義についての深い理解が必要になる。 2021年度はとりわけ教科横断的な統計指導,非形式的な仮説検定の指導,統計的アーギュメンテーションなどについて,推論主義の知見を背景にしながら検討した。推論主義では概念化の進展を言語使用の観点から理解でき,習得や活用も言語使用の観点から説明できるが,こうした特徴的な視点を踏まえて考察することができた。例えば,推論主義の観点から統計的アーギュメンテーションを分析することによって,統計的知識を活用して説得的な統計的主張を行うためには,その問題のおかれた文脈に関する知識への習熟の方が重要であることを論じることができた。このことは,統計教育の目標や内容,さらにいえば統計教育や数学教育の射程範囲の再考,教科のあり方の再確認を迫るものである可能性がある。 しかし,推論主義の哲学的アイデアのすべてを検討することができたわけではない。推論主義の知見の利用可能性については,今後も継続して県とする必要がある。この点については,推論主義を専門とする哲学研究者の協力を仰ぎながら進めていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
推論主義の知見を踏まえた研究成果を継続的に報告することができているが,まだ推論主義の哲学的アイデアのすべてを検討することができたわけではない。また,論文として報告できていない内容もある。これらのことから「おおむね順調に進展している」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度,2021年度の研究成果を踏まえつつ,推論主義の哲学的アイデアの教育研究利用についての検討をさらに進める。同時に,それらのアイデアをカリキュラムや教科書や授業実践などの分析に用い,研究成果の報告や発表を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため,学会・研究会への参加や実地調査に係る旅費・交通費として計上していた予算を使用することができなかった。次年度は一部緩和されることが予想されるため,旅費・交通費として使用できる見込みである。また,使用できなかった予算分を利用して,研究成果の国際的な発信のための英文校正費等に充てる。
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