研究課題/領域番号 |
20K14014
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研究機関 | 東京未来大学 |
研究代表者 |
篠原 俊明 東京未来大学, こども心理学部, 講師 (20738306)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 指導資料 / 多様な動きをつくる運動(遊び) / 基本的な動き / 観察的な評価方法 |
研究実績の概要 |
本研究においては、児童の基本的な動きの発達を捉える観察的な評価方法を作成するとともに、その成果をもとに「多様な動きをつくる運動(遊び)」の授業を支援する指導資料を作成し、その活用可能性の検討することを目的としている。2020年度においては、「多様な動きをつくる運動(遊び)」に関する指導資料にて指導ポイントを提示するうえで必要となる、観察的な評価方法の作成に向けて調査を実施した。 小学校1年生から4年生までの児童251名を対象に基本的な動きを撮影した。基本的な動きとしては、小学校学習指導要領体育編解説に例示されている動きを参考に、体育授業で実際に取り上げられている動きについて複数の小学校教員と協議を行い、「捕球動作(頭上からの落ちてきたボールの捕球)」、「フラフープ転がし動作(目標物に向けてフラフープを転がす)」、「両足回転跳び動作(両足で跳躍し、空中で1回転)」を設定した。現在までに、それぞれの動きについて、運動局面別・身体部位別の動作カテゴリーを撮影した児童の映像および先行研究より抽出している。具体的には、「捕球動作」は腕(肘)・体幹・脚、「フラフープ転がし動作」は腕(肘および手首)・体幹・脚、「両足回転跳び動作」は腕・体幹・脚・回転軸の動作を抽出している。今後は、抽出した動作カテゴリーを組み合わせ、指導ポイントを含めた、未熟な動作様式のパターン1から洗練された動作様式のパターン5までの5つの発達段階(評価基準)を設定する。その後、設定した評価基準を用いて、複数の小学校教員が児童の3つの基本的な動きの評価を行い、評価方法としての信頼性、客観性を検討する。一方、COVID-19の影響により、基本的な動きの撮影時期が当初の予定よりも後ろ倒しとなったため、当初予定よりも遅れている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度においては、基本的な動きの観察的な評価方法を作成することを予定していた。しかし、COVID-19の蔓延に伴い、小学校での基本的な動きの撮影を予定していた日程にて遂行することが困難であった。撮影を遅らせたことにより、動作カテゴリーの抽出およぎ5つの評価基準の設定が遅れている。 また、評価方法の信頼性や客観性の検討では、小学校教員の協力が必要であるが、感染予防の観点も含め予定よりも遅くれている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、未熟な動作様式のパターン1から洗練された動作様式のパターン5までの5つの評価基準(指導ポイント)を設定し、小学校教員の観察的な評価のもと、信頼性や客観性の検討を行う。特に、小学校教員による評価については、遠隔での方法を取り入れて実施することも考えている。 観察的な評価方法を作成後は、体育を中心研究教科とする教員100名を対象に、質問紙によるアンケート調査を行い、指導ポイントを習得するためのコツや声掛けを取集する。次に指導ポイントに対する単元計画、教材などを作成する。そのために、「多様な動きをつくる運動(遊び)」を研究する教員10名を対象とし、インタビューで単元計画や教材などについての意見を抽出する。その後、10名とともに抽出した意見について協議を行い、単元計画や教材などを記した指導資料を作成する。 作成した指導資料を用いて、体育授業に悩みを抱く教員が「多様な動きをつくる運動(遊び)」の授業を行い、基本的な動き質的変容、診断的・総括的授業評価、身体活動量、形成的授業評価などを捉え、指導資料の活用を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究においては、観察的な評価方法の信頼性および客観性の検討において小学校教員による評価結果を用いる。そのため、評価に際しての謝金や旅費を本年度の予算に計上していたが、COVID-19の影響により、その検討まで研究が至らず、次年度使用額が生じた。次年度では、検討に加えて、インタビュー調査などに対して謝金や物品を購入することを計画している。
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