養成段階において、総合的・探究的な学習の時間を組織するために必要な資質・能力を向上させるためには、単に知識や技術だけでなく、同僚や地域との対話や教材との対話といった総合的な実践力が求められている。本研究は対話的な教育方法によって、求められる実践力養成の課題に応えようとするものである。 本研究は、以下3つを目的としている。第1に、「総合的・探究的な学習」を実践するにあたり、教師として必要な資質・能力および実践の核となる教師の「観」(授業観等の多様な観の集合体。授業要素に一貫性を与えるもの)を明らかにする。第2に、被教育経験の中で、教師を目指す学生が「総合的・探究的な学習」に関して、どのような「観」を形成しているのかを明らかにする。第3に、学生の発達段階に応じた「深い学び」のある探究的な学習実践を開発することを目的としている。 令和2年度は、関連する先行研究および先行実践を広く収集し、令和3年度は、対話型論証をベースとした教材を開発し、令和4年度には、それらを実際に施行し、学生の観の変容について明らかにした。 そして、令和5年度は、以下の2点について中心的に行い、以下の成果を得た。まず1点目は、教師に必要な資質・能力として、「材の構成要素」に着目し、それらを実際にに自分で開発できるような授業を実施した。これらは、教材との対話、に該当するものである。加えて、実際の事例をもとに地域や子ども、同僚とどのように関わっていけば良いのか、といった視点からのシナリオ教材を開発し、実施した。 なお、上記については、その一部を学会および論文として発表した。
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