本研究は、海外留学を含む国際教育交流の推進を図るために、大学入学前の国際的な学習活動と大学入学以降の留学との関連性を分析することによって、高大を通じたグローバル人材育成への示唆を得ることを目的として行われた。 最終年度は、特に以下の点について研究を進めた。 ①先行文献の収集・分析:1・2年目に引き続き、関連する先行文献の収集と分析を継続した。特に、留学の動機づけ、学生の成長に関する文献を中心に収集、分析を行った。 ②アンケートデータの定量的分析:高校段階の国際的な学習活動と、高校卒業以降の留学志向の関連性を明らかにするためのアンケート調査の分析を継続して行った。分析結果の一部が学会誌に掲載された。 ③インタビューデータの定性的分析:大学入学以前の国際的な学習活動と、大学入学以降の留学志向の関連性を明らかにするために、アンケート調査と並行して、インタビューデータの分析を進めた。分析結果について、学会発表を行った。 本研究では、近年特に課題となっている、大学からの比較的長期の留学の促進という観点に着目して分析を行った。また、本研究を含む社会全体の背景として、コロナ禍が、国際教育に及ぼす影響についての分析も行った。研究期間全体を通じた成果として、アンケート調査からは、大学入学前の国際的な学習活動の中でも、海外研修を経験した者は、大学入学以降の初めての留学で、比較的長期の留学を行う傾向が見られた。また、インタビュー調査からは、海外や国内における異文化出身者との交流経験や、海外志向を持つ家族・友人・知人の存在が、比較的長期の留学の動機づけに影響を与えることが示唆された。
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