前年度までの成果より、ソーシャルキャピタル(social capital: SC)妥当性及び信頼性が検証されたSocial Capital Questionnaire for Adolescent Students (SCQ-AS) の日本版を使用し、中学生3549名(男性1750名、女性1779名)を対象に ソーシャルキャピタル(social capital: SC)がASD特性と抑うつの関連に媒介効果があるのかどうかを検証するために、ASD特性を独立変数、「学校SC」を媒介変数、抑うつを従属変数とした媒介分析を行なった。また、ASD特性及び社会性においては性差があることが知られていることから、抑うつに対するASD特性、学校SC効果が性別によって調整されるかどうかを検討するために,調整媒介分析を実施した。その結果、中学生においてASD特性と抑うつの関連に学校SCが媒介することを明らかにした。さらに、学校SCが低い場合にASD特性を持つ男性よりもASD特性を持つ女性の抑うつ症状の程度がより高くなることが示唆された。ここから、中学生のメンタルヘルスと関連が示されている学校SCが、一般人口群のASD特性と抑うつの関連において重要な役割を果たす示唆が得られた。本研究結果は、原著論文としてJournal of Autism and Developmental Disordersに掲載された。
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