研究課題/領域番号 |
20K14058
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
江頭 優佳 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, リサーチフェロー (10793200)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 注意欠如多動症 / ADHD / 時間知覚 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はADHD特有の時間知覚機能不全の特徴を明らかにし、時間認知系機能計測のための検査バッテリーを開発することである。本年度はADHDにおける時間知覚機能研究の現状を再確認するために文献調査を実施し、その結果に基づいて実験計画の再構築を行った。 文献調査の結果、時間知覚には小脳、前頭葉、補足運動野等、広範な脳領域が関わるが、ADHDが有する小脳の構造的、機能的な違いが時間知覚機能不全に特に影響する可能性が示唆された。一方で従来の知見で用いられている時間知覚機能を測る課題は多岐に亘り、それぞれが異なる認知機能を要することが分かった。加えて本年度までに実施した研究の結果、ADHDでは基準時間の認知に対する学習は難しいが、課題が求める運動に対する学習が生じることが明らかになった。同時に学習の過程において、疲れやすさや不注意など時間知覚機能以外のADHD症状が課題成績に影響する可能性が示唆された。課題特性が種々のADHD症状を反映することから、異なる課題特性を持つ検査を同時に実施し、課題成績と個々の症状との関係に着目することによって被検査者が有するADHD症状の明確化が可能となり、より良い検査法開発に繋がると考えられる。これらの結果をもとに、計画していた実験課題に加えて小脳機能、前頭葉機能をそれぞれ個別によりよく反映する課題を実施することとした。本年度までにADHD群、定型発達群併せて50例のデータを取得している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響や部の体制変更により、特に上半期の被験者リクルートや実験実施計画への変更を余儀なくされ、予定していたよりも計測数が少なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
被験者リクルートについては外来受診患者に加えて、所属機関でのリクルートページの充実による方法、関係医療機関との連携による方法を追加した。次年度は最低でも50例程度のデータ取得を目指す。現在は対面式での研究が徐々に実施できているが、6月頃までに状況の改善が見込めなければインターネットを活用した遠隔での研究方法への方向転換も視野に入れている。次年度中にデータ取得を終了し、最終年度では疾患や投薬との関連を見るための追加実験や本来の目的であるADHD時間知覚機能の客観的評価法開発を目指したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定よりも検査数が少なく、被験者謝金が発生しなかったため。
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