研究課題/領域番号 |
20K14058
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
江頭 優佳 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, リサーチフェロー (10793200)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 注意欠如・多動症 / ADHD / 時間知覚 |
研究実績の概要 |
現在までに294名(ADHD61名(小児9名)、ASD50名(小児11名)、ASD・ADHD併存67名(小児14名)、定型発達群112名(小児33名))に対して3種類の時間知覚課題、実行機能検査、知能検査、発達特性検査を実施した。本年度は成人データ取得の継続とともに小児の計測を増やすことを目標にリクルートした。現在、研究協力機関との協働により小児の計測数増加に努め、継続して検査を実施している。なおCOVID-19感染症拡大の影響で所属機関外来受診の小児が減少したため、所属機関ホームページにて小児及び成人に対してリクルートした結果成人の参加者数が多くなっている。 これまでに、実施している時間知覚課題間の認知的背景の共通性の低さ、成人における発達障害併存有無で異なる時間知覚課題への不得意さを示すこと、小児では時間再生精度のばらつきが大きく、ばらつきに病態が反映される可能性があることと、課題によって投薬の効果が異なる可能性があることを示した。これらの成果の一部は以下の国内外の学会で発表した。The 15th International Congress of Physiological Anthropology (ICPA)、第63回日本児童青年精神医学会総会、Neuroscience 2022、日本ADHD学会第14回総会。加えて、神経発達症の二次障害発症と関連が深いストレス反応について文献調査を実施し、その成果を日本生理人類学会誌にミニレビューとして投稿した。 本年度は成人の行動実験データについて、神経発達症がない場合の課題間の認知的関連性を検討することで比較基準を明確にすることに努めた。同時に継続したデータ取得により、広い年齢層に対する病態検討の地盤を固めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は小児の定型および神経発達症に対する検討を予定していたが感染症拡大の影響によるリクルート方法変更の影響で一部の計画を成人のみの検討及び小児と成人の比較に変更したが、成人に比べて小児の参加者数獲得に予想よりも時間を有しているため。
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今後の研究の推進方策 |
現状の課題は小児の参加者数の少なさである。研究協力機関との協働によって小児参加者数の増加が見込めるため、夏休み等長期休暇での集中した計測を目標にリクルートを強化しスケジュールを作成している。加えて現在、当初小児に対して実施予定であった脳機能系を苦を成人に対して実施しており、時間知覚課題計測を終えた成人約20名の計測が終了している。次年度は小児及び成人に対する行動実験の継続と同時に成人に対する脳機能計測を実施する。加えて行動実験の結果に対する成果の国際誌への投稿を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
脳機能計測数が当初の見込みより少なかったため。次年度、脳機能計測実施時の施設使用料及び被験者謝金として使用予定である。加えて、論文投稿費用等成果報告費として使用予定である。
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