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2023 年度 実施状況報告書

脳活動と行動に基づく注意欠陥・多動症児の時間認知系機能検査バッテリーと治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K14058
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

江頭 優佳  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 知的・発達障害研究部, リサーチフェロー (10793200)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワードADHD / 時間知覚
研究実績の概要

今年度はデータ取得を継続し、これまでに疾患群・定型群合わせて小児103名に対する計測を実施した。成人を含めてこれまでに377例の計測を終了している。
本年度は検査バッテリー作成のための検討のひとつとして、課題間の関連を明らかにすることを試みた。結果、現在ADHDを対象とした時間知覚研究で多く用いられている課題(時間再生、時間弁別、タッピング)はそれぞれが独立しており、異なる時間認知の側面を反映するが、その背景には実行機能系との関りの強さの違いがあることが分かった。とくに時間再生課題は前頭機能の関与が大きく、他の二つの課題と比較して検査時のコンディションや個人の認知機能の影響を受けやすいことが分かった。そのため、ADHDに対する時間知覚機能の検討では複数の時間知覚課題を用いる必要があると考えられた。更に、現在主に用いられている時間知覚課題は時間長に関わらず主に前頭機能を中心とした時間認知を反映すると考えられた。従って、ADHDの時間知覚機能不とADHD病態との関連の背景を成すと考えられる小脳系の機能的偏倚の計測にはより小脳の関与が高い時間知覚課題を実施する必要があり、今後検討する。
これらに加えて、ADHD病態との関連について、小児を対象とした予備的検討を行った。定型群とADHDおよびADHD・ASD併存児を対象に、時間再生課題継続時の再生時間長のばらつきとADHD特性、CBCL得点の関連を比較したところ、定型小児ではADHD特性と再生時間長のばらつきに正の相関があったが、ADHD児では関係は見られなかった。CBCLとの関係も定型小児とADHD児では異なっていた。今後、背景を成す要因について詳細に検討し、時間知覚機能とADHD病態との関連を明確にすることを目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでに疾患群・定型群合わせて小児103名に対する計測を実施した。成人を含めてこれまでに377例の計測を終了している。しかしながらADHD小児の参加数が40例程度不足している。その対策のために現在、リクルート範囲を変更するなどの試みをしている。ADHD小児の年齢に応じて定型小児のデータを追加取得する必要が生じる可能性がある。そのため群間比較が予備的なものにとどまっている。更に、ADHD群内の個人差に対する検討ができていない。しかしながら定型群に対する検討は進めており、結果の一部を国際誌に投稿準備中である。以上の理由からやや遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

一番の課題は小児ADHD群のデータ数を増やすことである。現在、協力機関以外の病院・クリニックや近隣地域への研究内容紹介チラシの郵送によるリクルートを実施している。今後、地域のNPO等へのアプローチによる協力者数の増加を目指している。データの集積が完了次第、成果の国際誌への投稿を目指す。

次年度使用額が生じた理由

所属機関の体制変更などがあり、見込みよりも研究参加者数が少なかったため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 注意欠如・多動症の病態解明のための時間知覚課題の検討2024

    • 著者名/発表者名
      江頭 優佳, 林 小百合, 魚野 翔太, 請園 正敏, 高田 美希, 岡田 俊
    • 学会等名
      国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所令和5年度研究報告会
  • [学会発表] Investigation of the Characteristics of “Genuine” Time Perception in ADHD2023

    • 著者名/発表者名
      Egashira Y, Hayashi S, Uono S, Takada M, Ukezono M, Okada T
    • 学会等名
      ASCAPAP 2023
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 時間知覚課題の認知処理の違いによる分類可能性2023

    • 著者名/発表者名
      江頭 優佳, 林 小百合, 魚野 翔太, 請園 正敏, 高田 美希, 岡田 俊
    • 学会等名
      日本心理学会第87回大会
  • [学会発表] 複数の時間知覚課題の認知的共通点の検討2023

    • 著者名/発表者名
      江頭 優佳, 林 小百合, 魚野 翔太, 請園 正敏, 高田 美希, 岡田 俊
    • 学会等名
      2023年度日本生理人類学会フロンティアミーティング

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公開日: 2024-12-25  

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