研究課題
小中学生1,068名を対象とした調査により、前年度に作成した児童・青年の知覚されたソーシャル・サポートを測定する尺度である「Child and Adolescent Social Support Scale (CASSS)」の日本語版の標準化に関する論文が国際誌に掲載され、日本と海外におけるソーシャル・サポート研究の橋渡し的役割として寄与することができた。また、同一コミュニティ内の小中学校において、児童生徒1,061名とその保護者を対象としたコホート研究を継続しており、ソーシャル・サポート、ソーシャルスキル、援助要請スタイル、発達障害傾向(ASD、ADHD)および心理社会的適応状態(情緒的・行動的問題および抑うつ症状)を評価する尺度を用いた調査を実施した。最終年度である次年度に向けて、縦断的調査のデータベースを構築している段階である。上記のほかに、新型コロナウイルス感染拡大の影響下において、特別支援学校の生徒が呈するストレス反応や新型コロナに対する恐怖の実態について調査を実施しており、学校再開直後から1ヶ月後までのパネルデータを収集することができた。これに加えて、中学生・高校生のオンラインゲームを含む生活スタイルと発達障害傾向および対人関係上の適応の関連を調べるための調査を実施しており、得られたデータの一部は既に学会発表および論文として公表している。さらにアウトリーチ活動の一環として、各学校現場において研修会を開催し、研究成果の活用方法について示すことができた。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り調査が進行しており、前年度に得られたデータを基にした複数の論文が国際誌に掲載された。複数年度にまたがる縦断的調査であるため、データの接続手続きの煩雑さが懸念されたが、滞りなくデータベースを構築することができた。さらに次年度の調査についても対象校に既に内諾を得ており、3年間にわたる縦断的調査を実施できる見込みであることから、順調な進捗状況であると評価できる。
ソーシャルサポートの緩衝効果を明らかにするための縦断的調査として、過去2年を含む3年間のコホート調査を予定しており、その準備を進めている段階である。本研究成果については、今後、学会発表および論文投稿を予定しており、成果物のさらなる増加が見込まれる。
参加予定だった学会がオンライン対応となったため、旅費分と想定していた経費に残額が生じた。次年度は今年度の状況を踏まえ、研究成果のアウトリーチ活動を積極的に行うための経費が必要となる。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件)
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