研究課題/領域番号 |
20K14064
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
三浦 巧也 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70735357)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発達障害 / 女子高校生 / 学校適応 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
令和2年度の研究では、発達障害のある女子高校生の学校適応に関する特徴について、性別、発達段階別、進学率別による比較を通して、特有とされる実態を検証することを目的とした。 しかしながら、Covit-19の影響もあり、発達障害のある女子高校生の特徴を検証する前に、コロナ禍における中学生と高校生のメンタルヘルスの特徴を性別や年齢に分けて把握することが重要であると考え、調査をを行った。2020年7月に、思春期精神健康調査(AHQ-10)を作成し、単一私立中高一貫校に在籍する男子・女子生徒のメンタルヘルスの現状を調査した。調査の結果、メンタルヘルスが不調である生徒は、全体で約4割の生徒に該当する結果となった。また、女子生徒の方が男子生徒よりもメンタルヘルスの不調を訴えていることが示された。さらに、高校生は中学生よりもメンタルヘルスの不調を訴えていることが示された。有意な差はみられなかったが、高校3年生の女子生徒において、メンタルヘルスの不調を訴える人数が多く示された(12.3%)。高校3年生の女子生徒については、大学進学への不安が男子生徒よりも顕著に影響している可能性が考えられる。偏差値で輪切りにした大学選びではなく、入学後の心理的安心感も1つの選択肢として取り入れた進路指導を行っていくことが期待されると推察された。 上記の結果を踏まえ、次に、大学生と高校生の学校適応の状況について比較検討を行うこととした。まずは、予備的研究として大学生が大学にて適応していくためのスキルを、先行研究およびインタビュー調査(14名)より検証した。収集したデータをKJ法によって分類した結果、学修スキル(履修・授業・課題)と、日常スキル(対人・余暇・計画)といった2つのスキルを抽出するに至った。特に発達障害のある女子学生は、一般の女子学生よりも各スキルにおいて不安を抱いていることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍ではあったが、一般の中学生と高校生のメンタルヘルスの現況を把握することができた。また、2021年3月には、大学生と高校生を対象として、大学生活において適応していくためのスキルに関して、発達特性を踏まえて検証するための調査を実施した。同調査では、女性に限定して発達特性とPMSによるストレスとの関連性も調査した。令和3年度にはデータの分析が完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度には、発達障害のある支援方法についてカウンセラーや養護教諭にインタビューを行う予定であり、現在、調査項目を作成中である。 また、支援体制のモデルについても、インタビューを通して図式化する予定であり、現在、インタビュー内容を精査中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はコロナ禍において、学会への参加および旅費が出来ない状況であった。2021年度は、オンラインでの学会参加費や発表費を計上する予定である。また、発達障害の可能性がある女子高校生への支援方法について、様々なデジタルデバイスを用いてデータを収集するため、物品費を計上する予定である。加えて、更なる調査研究を行うため、データを分析するために人件費を計上する予定である。
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